黒板にチョークで描かれた絵や文字等の作品。黒板ならではのスケール感とチョーク独特の温かみ、いずれは消されてしまう“はかなさ”も魅力となり、ここ数年大きな話題となっています。
昨年開催した第1回 「日学・黒板アート甲子園®」では、多くのテレビや新聞などのメディアでも取り上げられ、157作品もの応募が集まりました。本年も第2回大会として開催する運びとなりました。
「第2回 日学・黒板アート甲子園」は、beyond2020プログラムの認証事業です。beyond2020プログラムは日本文化の魅力を発信するとともに、2020年以降を見据えたレガシー創出のための文化プログラムです。
募集期間:平成29年3月14日~4月7日
総応募作品数:153点
総応募学校数:87校
総応募生徒数:753人
※学校名、グループ名、人数、作品画像、作品テーマ、制作エピソードの順で記載
※画像をクリック/タップすると作品を全画面表示できます
作品名:VR黒板
近年、どんどん進化している技術に驚き、それと同時に将来学校の授業も進化しリアルな体験が出来るようになったら、ハラハラドキドキ面白くなるのではと思いました。その様子を想像し、楽しみながら黒板に描きました。
【評】
未来の黒板というテーマで動物が実際に黒板の中から飛び出してくるという設定が面白い。未来の学校がこのようになったら授業が楽しくなるというコンセプトが豊かな表現力に結びついている。キリンの立体感、毛並みや目の輝きなど細かいところまで丁寧に表現し迫力ある画面をつくり出している。
作品名:黄昏の旧友
美術部の集大成として3年間の部活動への思いを込めてみんなで作り上げる卒業制作とするために黒板アートに取り組みました。
初めて画材として使うチョークの質や描き心地に少し戸惑いながらも楽しく描くことができました。
【評】
高校生活の屋上での1シーンがとても良く描かれており、作品の雰囲気や感じられるものに温かみがある。
また、人物の位置とその人物が夕焼けに照らされて伸びる影、その情景をしっかり捉えているところが素晴らしい。想いがよく作品の中に表現されている。
作品名:期待と不安
高校生活を心待ちにしていた新入生と若干の不安を抱く新入生、
それぞれの気持ちを持つ彼らから見た景色と彼ら自身を、2人で表現し、描き上げた作品です。
【評】
エネルギッシュで高校生ならではの勢いを感じる作品。下からのアングルで特徴的なことと、町並みなどもとても細かく精密に描かれている。また、高校生活の1シーンを描いているので、とても素直に描かれた作品であり、「力」が表現されている。
作品名:鯨波
陽の落ちる夕暮れ時の空を翔る大きな鯨を描きました。鯨は「鯨波」と書いて「とき」と読むことができます。
私達のこれからの時間と掛け、この三人がこれからも自由に、広い舞台で活躍できるようにと願いを込め描き上げました。
【評】
色彩豊かに夕方の光を再現し、クジラの腹と背の輪郭線が描く弧線と、背景にある地球の輪郭のような弧線の、
3つの弧を配置した構図が作品に躍動感を与えている。夕暮れの光の表現と波しぶきをあらわすような雲または水滴のような描写、チョークの使い方を工夫しているところが見事である。
作品名:あとかた~受け継ぐ者~
私達は今年、修学旅行で北九州へ行きます。平和学習として当時の様子や、実際に体験した方のお話を聞ける機会があると知り、
忘れてはいけない戦争の歴史をしっかり学ぶという意志を表現しました。
【評】
高校生がしっかり平和について考えている作品。特徴的な部分は、左側がモノクロで描かれており、右側が現代の風景ということでカラーを使ってあるところが面白い。また、人物がしっかり上を見て、これから頑張っていくぞという意気込みが感じられる高校生らしい勢いのある作品。
作品名:広がる世界
今年の4月から美術・デザイン科の1年生になる私たちの後輩のために描きました。
美術は自分の世界を広げてくれるものというメッセージを込めました。全体として迫力のある鮮やかな色使いを普段使っているチョークで表現するよう意識しました。
【評】
他の受賞作品に比べてチョークをねかして、ぼかして、グラデーションがキレイに描かれているファンタジーな作品。
絵本みたいな印象をうけてとても夢があり、独創的でオリジナリティが高いところが素晴らしい作品。
作品名:鳥獣戯画
週末、うさぎは決まった時間に家を出る。お気に入りのバイクにまたがり町へ。
魅力的なうさぎがカエルを惑わす。何も知らないカエルは蛙生最後のディナーを楽しむ。
【評】
黒板を絵巻に見立てて右から左へ時間が流れている。鳥獣戯画のモチーフである兎と蛙を現代風にアレンジして、
ある1日の出来事を表現した物語性の高い作品。擦ってぼかした背景と線で描かれたカエルと兎、
黒板の地の色を生かした地面で構成され、画面全体が独特な雰囲気を醸し出している。
作品名:Flower Whale ~ビッグになれよ~
卒業する先輩にビックになって活躍して欲しいという思いを込めて制作させていただきました。
くじらの中の花が四季折々なのは三年生になってから卒業するまでの一年間を表現しているためです。
【評】
校舎の窓の外を悠々と泳ぐ鯨を、四季折々の花で覆った斬新でユニークなアイデアが素晴らしい。
また、ダイナミックで鮮やかな窓外の風景に対し、内側教室内の風景は、黒板の地そのままを生かし線画だけを使ってあっさり表現している。
そのコントラストが空と鯨を引き立たせている印象的な作品。
作品名:卒業駅
卒業を迎えるにあたり、大スキな熊本を夢に向かって旅立つため、卒業駅で列車を待つ様子をイメージして描きました。
阿蘇の風景を魚眼レンズの効果を意識しました。
作品名:旅立ち
卒業するに当たって、夢に向かって大好きな熊本から列車に乗って旅立つ様子をイメージして描きました。
窓から見えるのは熊本城や天草の海等、熊本の風景です。列車は未来に向かって進んでいきます。
【評】
それぞれ別々に応募された作品だが、同じ構図の連作と位置づけて選考した。上側が卒業していく高校生が電車を待つところ、
下側が電車に乗って次のステージに向かうシーンが描かれている。どちらも咲き乱れる桜や、
熊本県ならではの情景が美しく描かれ、卒業後の未来への期待感があふれている色鮮やかな作品。
作品名:想い
黒板アートは桜に似ている。おおきくて、あたたかくて、そして、はかない。
でも、だからこそ心にはずっと残るのかもしれない。黒板はいつでも人と人とのあいだにある。何かを教えるために。何かを伝えるために。この春、離任する顧問の先生にむけて。
【評】
手を振る先生の向こうには満開の桜、そして彼を見送る部員たちの顔、顔、顔・・・。
3つの要素が遠近感をもってダイナミックに描かれている。丁寧に生き生きと再現された生徒たちの表情が、
先生に対する感謝や敬意の気持ち、そして黒板を通じた様々な思い出を連想させる、ストーリー性にあふれた作品。
作品名:私たちは何でもできる
桜丘高校の教室からは金沢の街並みと、春には満開の桜を一望することができます。
今回はその街並みを未来の風景として描き、桜丘の教室で学んだ生徒一人一人が未来で活躍していく様子を、桜の花びらが現代からはばたいていくように表現しました。
【評】
教室の黒板の中に黒板があるというところが面白い構図である。未来の風景が広がっていて黒板に描かれた桜の花びらがまって、
外まで風に飛ばされている夢のある情景が描かれていて面白い。限られたチョークの中でここまでカラフルに描かれているところが素晴らしい。
作品名:春のとまり
証書を手に持ち坂を登って妖怪達がこっちへやってくる姿を描きました。夜桜に見守られ夜行する妖怪達は刻々と動き、過ぎてゆく春を表現しています。
【評】
妖怪が奥から手前側に歩いてきている。その先頭に立っている妖怪が卒業証書をもっている不思議でユニークな作品。実際にないものをここまでしっかりと忠実に描ける描写力や妖怪の周りの麓の構成力も素晴らしいと思う。見所がたくさんある素晴らしい作品。
作品名:湘南新宿らいん。
この作品は2人で制作したんですが、最初片方が用事で出られなかったりしたので、時間が足らず上手くまとまるか心配でしたが、最終的にまとまったので良かったです。
【評】
とても奇妙でユニークなイメージだが、自由な発想で描かれた印象深い作品。黒板アート甲子園ならではの創造性に富んだ作品であり、見てとてもワクワクするような気持ちにさせる。黒板全面にオリジナル性を使ってとても良く表現している。
作品名:決意
春休みという短い時間で、これだけの大きさを描くのはとても大変でした。塗りつぶしていくのではなく、線を1本1本重ねて描きました。
また、グラデーションにも気を遣いました。
【評】
黒板の中に長方形に描かれた風景は、まるで黒板の先に続く風景のように、見る者を吸い寄せる。
淡い色合いの静かな情景に、「決意」という題名が未来に向かう強い意志を感じさせる。黒板の地の色をシルエットとして使い、色の作り方も素晴らしい。
作品名:海底寿司
原画を黒板の大きさに合わせる事が大変でした。
限られた時間と人数で完成させるのは非常に難しいところでした。海底の画像を調べ忠実に再現する等努力しました。
【評】
海底寿司に回転寿司を掛けた洒落た題名が面白い。寿司ネタになったマグロが骨をむき出しに泳いでいる。
そのようなクスッと笑えるようなユーモアを入れながら回転寿司という日常生活で普通に見られる場面を、どこか風刺も込めて描いているようだ。
作品名:夢よ大空へ羽ばたけ
美術部の部長・副部長の3人で制作しました。制作時間が短く、限られていたので、完成できるか心配でしたが、完成して良かったです。
【評】
これまでもペガサスを描いた作品は多数あったが、その中でも描写が秀逸と感じられたのがこの作品である。
たくましい馬体、画面いっぱいに広げ、今にも羽ばたきそうな翼など、ペガサスの躍動感を白いチョークだけで緻密に美しく表現している。
作品名:僕はいま
高校卒業という日を迎え、僕は小学生の頃の自分を思い出す。夢中で勉強した算数、休み時間に落書きした黒板、あの日の帰りに見た空―。あのとき空のように広く大きくなりたいと願った僕は今、そうなれているだろうか。
公式の審査会とは別に、日学株式会社の従業員が選ばせていただいた賞です。
作品名:卒業式…
卒業式後の、さみしい教室内を夕日と影で表現しました。特に頑張ったところは、イスの影の付け方です。
【評】
卒業生を送り出した教室にはその教室で過ごした生徒たちの様々な思い出が詰まっている。カーテンを揺らす風は誰もいなくなった教室に桜の花びらを送り込む。教卓の上には、卒業証書が置かれている。卒業を祝う気持ちと寂しさが込められた情感豊かな作品である。
作品名:未来を眺める
発展した今の日本を見たら昔の人達はどう感じるだろうか。
素晴らしい?嬉しい?悲しい?他愛ない疑問だけど、現代に生きる私たちにとって大切なことを教えてくれる疑問だ。多くの人に、この疑問について考えてみてほしい。
【評】
とても細かいところまで根気良く描かれている。中学生だが、高校生にもひけをとらない。
中央に近代的な乗り物や日本を象徴する富士山が描かれていて日本の和を感じさせる作品。中学生でもこれだけ描けるということをこの作品を通じて教えてもらった。
作品名:創る
「創ることが好き」という気持ちはみんな同じです。創ることの楽しさをテーマに描きました。
鉛筆から花や動物や音符を出すという構図で、たくさんの可能性を秘めているということを表現しました。
【評】
非常に中学生らしい作品である。無理をせず限られたチョークの色をそのまま使っている。
白と赤といえば錦鯉。ピンクといえばフラミンゴ。黄色といえばキリン。うまく色をいかしている作品。
色んな形を色んな角度で構成をしようとしている。今後が楽しみである。
応募1作品につき
チョークセットプレゼント
天神チョーク
(白・カラー・蛍光 各6本セット)
日本白墨工業株式会社
http://www.tenjin-chalk.co.jp/
高等学校(五十音順)
愛知県立江南高等学校
青森明の星高等学校
青森県立八戸西高等学校
秋田県立湯沢翔北高等学校
石川県立金沢桜丘高等学校
石川県立金沢二水高等学校
石川県立工業高等学校
茨城県立水戸桜ノ牧高等学校
岩手県立水沢高等学校
英明高等学校
愛媛県立小松高等学校
岡山県立総社南高等学校
香川県立高松西高等学校
学校法人国際学園 星槎国際高等学校
学校法人笹田学園 向陽台高等学校
神奈川県立麻生高等学校
神奈川県立生田東高等学校
神奈川県立弥栄高等学校
神奈川県立横浜旭陵高等学校
九州産業大学付属九州産業高等学校
京都市立銅駝美術工芸高等学校
京都府立向陽高等学校
熊本県立大津高等学校
熊本県立岱志高等学校
金光八尾高等学校
埼玉県立大宮光陵高等学校
埼玉県立春日部女子高校
埼玉県立越ケ谷高等学校
埼玉県立越谷東高等学校
埼玉県立坂戸高校
埼玉県立新座総合技術高校
埼玉県立新座総合技術高等学校
佐賀県立佐賀北高校
佐野日本大学高等学校
滋賀県立石山高等学校
静岡県立科学技術高等学校
静岡県立掛川工業高等学校
静岡県立駿河総合高等学校
静岡県立浜松江之島高等学校
静岡県立富士高等学校
静岡県立富士宮東高等学校
静岡雙葉高等学校
下関市立下関商業高等学校
誠恵高等学校
千葉県立安房高等学校
千葉県立市川工業高等学校
千葉県立船橋北高等学校
千葉県立松戸高校
千葉県立薬園台高等学校
東京都立総合芸術高等学校
東京都立総合工科高等学校
東京都立府中西高等学校 東京都立武蔵村山高等学校
トキワ松学園高等学校
常葉大学附属菊川高校
長崎県立島原高等学校
長崎県立島原翔南高等学校
長崎県立清峰高等学校
奈良県立生駒高等学校
奈良県立郡山高等学校
八戸工業大学第二高等学校
浜松市立高等学校
兵庫県立三田祥雲館高等学校
兵庫県立東灘高等学校
福井県立高志高等学校
福井県立丹南高等学校
福岡県立八幡中央高等学校
福島県立保原高等学校
北海道帯広南商業高等学校
北海道札幌東高等学校
北海道札幌南高校
松山東雲中学・高等学校
宮城県仙台二華高等学校
宮崎県立佐土原高等学校
陸上自衛隊 高等工科学校
中学校(五十音順)
愛知教育大学附属岡崎中学校
大阪市立生野中学校
鎌ケ谷市立鎌ケ谷中学校
四條畷市立四條畷南中学校
長崎市立大浦中学校
名古屋市立神の倉中学校
韮崎市立韮崎東中学校
能登町立小木中学校
府中市立府中第二中学校
宮城県仙台二華中学校
横浜市立平戸中学校
第1回大会結果はこちら(2016) プレ大会結果はこちら(2015)
第1回大会受賞校によるWHITE JAM「咲かないで」ミュージックビデオ 黒板アート・リレーVer を公開中!
Copyright© Nichigaku Co.,Ltd. All Rights Reserved.
審査員総評
小野 大輔氏(長崎県立島原高等学校教諭、長崎県立島原商業高等学校教諭)
黒板アートを含む美術全般での必要な要素として表現力、観察力、想像力などがあげられます。今回の作品には、徹底的に観察し忠実に表現している作品や、実際にはない非現実的な世界を作り上げている作品があり、さすが高校生は感性が豊かで夢があるなと関心しました。次の大会まで1年間あるので、じっくりと題材や表現方法を検討してみてください。来年は、これまで以上に表現の幅が広がっていくことを期待しています。
熊沢 加奈子氏(チョークアーティスト)
2年前のプレ大会に比べて作品がかなり華やかになっています。黒板アートでこれだけの色合いを使い、オリジナリティ溢れる作品を審査することができてとても楽しかったです。来年またどんな作品がでるのか今から楽しみです。年々、受賞作品のレベルがあがっていて、応募することに躊躇してしまう学校もあるかもしれません。しかし、黒板アートをもっと気軽に楽しんでいただき、今だからこその仲間と描ける瞬間(とき)をなによりも大事にしてほしいと思います。今回の受賞作品の審査は、色んなバリエーションで選べたという印象を持っています。
三澤一実氏(武蔵野美術大学教授)
今年の大会は、魅力ある作品が非常に増えた印象を受けています。技術的な表現力も高まり迫力のある作品が増してきました。一方、アイデア勝負で、黒板の生かし方やチョークの使い方に工夫を凝らした作品なども多く、残念ながら選外となった作品にも入選作品と甲乙つけがたい作品が沢山あり審査で悩みました。表現では何を描きたいかという主題が作品の出来栄えに大きく影響します。 自分たちの思い描いたイメージを徹底的に追及すれば説得力のある作品になると思います。来年も期待しております。
吉田朋弘氏(日学株式会社 代表取締役社長)
2年前のプレ大会、昨年の第1回大会を経て、作品のクオリティーやバリエーションが非常に高まっています。 これに対応しアイデア賞やユーモア賞を設定するなど、評価の上でもバリエーションをつけて審査しました。 レベルが上がる一方で、「普通の」高校生にとっては敷居が高くなりつつあるようで、応募作品数や制作に関わった人数はやや減少傾向にあり、 その点で来年の大会に向けた大きな課題を頂いたと思います。より多くの人々に楽しんでいただける黒板アート甲子園を目指して、 次回大会に向けた準備に取り組んでいきたいと思いますので、ぜひともご期待ください。