日学・黒板アート甲子園®︎2021大会 黒板の部 結果発表

メイン大会 入賞作品

※学校名、グループ名、人数、作品画像、作品名、制作エピソード、講評の順で記載
※画像をクリック/タップすると作品を全画面表示できます

最優秀賞

静岡県立浜松大平台高等学校/大平台高校Aチーム/7人

作品名:冬の幾何学

部活帰りの渡り廊下は肌を貫くような厳冬の風が吹く。私は制服のシャツで眼鏡のレンズを拭いながら、今日は星が綺麗だと思った。唐突に部活の仲間が星の散る夜空を指し、興奮した様子で声を上げた。
私が徐に眼鏡をかけると、そこには・・・
絵のモチーフとして皆で写真を撮りに行きました。部活の結束が強まりました。

【評】

「部活帰りの渡り廊下は肌を貫くような厳冬の風が吹く。私は制服のシャツで眼鏡のレンズを拭いながら、今日は星が綺麗だと思った。」という高校生活の一場面から生まれた作品です。メガネを掛けると友達の背中越しに一段とくっきり見える星。そして浮かび上がる星座の形。太古の昔から人間を引きつけてきた星空は現代を生きる高校生をも強く魅了するでしょう。そのとてつもなく広がる宇宙に指を指しながら、友達同士どんな言葉が語られているのでしょうか。かけがえのない青春の一場面を見事に描いています。
黒板の黒い地を生かした夜空にきらめく星と天の川。チョークの粉を吹き付け表しているのでしょうか。また、校舎の壁や眼鏡のフレームなど、それぞれの質感を丁寧に描き分けています。レンズを通して見ているような風景の歪みと水平を斜めに傾け切り取った構図も素晴らしいです。

優秀賞

福島県立会津学鳳高等学校/会津学鳳高校美術部/11人

作品名:ふくしまが溢れて『百喜夜行』♪

Dr.野口がふくしまの復興のために化学実験をしていると、突然、化学反応が起きました。試験管からもくもくと煙が立ちのぼり、愉快な民芸品たちが次々と溢れ出てきました。民芸品たちはびっくり仰天するDr.野口の脇を通り抜け、街へと『百喜夜行』に繰り出しました。
ひたすらチョークを重ね続けたら、JKみたいにツヤツヤの髪の巨大な野口英世が仕上がったり、怪しさ満点の赤べこが生まれました。私たちはリアルさを増してゆく民芸品たちに描きながら感動を覚えていましたが、まるで私たち自身も奇妙な現象に遭遇しているかようで、とても楽しい経験でした。結果として、屏風絵のような華やかで繊細な黒板アートができあがりました。
今年は、東日本大震災から10年の節目の年です。私たちは、前を向いて明るく進む民芸品たちに自分たちの姿をなぞらえ、私たちにしか描けない黒板アートを描きました。コロナ禍の中、黒板アートを通して、ふくしまの魅力と元気を全国に伝えたいです。

【評】

鮮やかな色彩は見る人の目を瞬時に捉えます。一つ一つのモチーフは質感までもがリアルに描かれており、引き締まった黒のアウトラインはさらにそれらをシャープに見せてくれています。野口英世氏の驚いた表情や、今にも動き出しそうな民芸品から、「ふくしまの魅力と元気を全国に伝えたい」という思いが見事に伝わってきます。東日本大震災から10年の節目に描かれたこの作品が、被災地の福島県在住の高校生たちの共同制作であることは意義深く、希望を感じさせます。

埼玉県立大宮光陵高等学校/サワークリームオニオン/3人

作品名:雲外蒼天

私たちは最初、錦鯉を描いていました。しかし描いているうちに魅力を感じられなくなり、別の案にしようと1からやり始めました。そして先生の助言をいただいたところ、この闘牛は勢いがあり、黒板アートにぴったりだとおっしゃってくれたので、闘牛を描きました。この雲外蒼天という四字熟語は、目の前の困難を努力して乗り越えれば、そこには青い空が待っているという意味です。闘牛の勢いと背景の青い空にぴったりだと思い、タイトルをこの四字熟語にしました。

【評】

闘う牛と牛。画面にドリップした水溶きチョークは巻き上がる土の煙なのでしょうか。突進するスピード感を感じさせ、ぶつかり合う激しさを演出しています。画面から鈍く大きな突き上げるような音がきこえませんか?見る人たちに目の前で観戦しているような臨場感を味わわせてくれる作品です。二頭の牛の強さ、そして存在感を高めているのは背景の鮮やかな青色です。その青に対比して牛の胴体には何色もの色チョークを重ね、まるで油絵のような色彩の強さと深みを出し、牛の重厚感を十分に感じさせる描き方になっています。黒板とチョークでこの様な力強い作品が描けることを改めて私たちに教えてくれた作品です。

好文学園女子高等学校/好文学園女子高等学校Aチーム/13人

作品名:春は短し描けよ乙女

昨年度からのコロナ禍の影響で、部活動や学校行事など、私たちの青い春と言える時間はとても短くなりました。いつかは以前の楽しさを、と明るい未来をじっと待っているだけでは、春は過ぎ去ってしまうという思いを黒板アートにぶつけようと、「心は自粛しない」というテーマで制作しました。教室に広がる青い空を塗ったりペンライトで描いた飛行機が思いを乗せて飛ばしたり、私たちなりの自由な春を表現しています。見る人に元気や勇気を届けたいという気持ちで描きました。

【評】

黒板全面を有効活用しており、さまざまな動きが描きこまれていて、どこから見るのか迷うほど充実感のある仕上がりになっていると思います。アートを見ている人参加者の一人になれるような黒板アート制作風景であることと、「コロナに負けない」という学生生活での思いを強く表現されていて、感動しました。全体的な力強くもあり、はっきりとした仕上がりにも大変感銘を受けました。

入賞

福島県立福島西高等学校/デザカ組/9人

作品名:パラレルワールド

普段何気ない日々を過ごす中で、ワクワクするような非現実的な出来事が訪れて欲しいというイメージから制作が始まりました。眼鏡を覗くと色とりどりのドットの世界が広がっているというデザインにしました。空間性を意識して配色を工夫したり、ドットの細かを意識したりしながら書き進めました。チームそれぞれの思いを形にするために時間をかけて試行錯誤しながらできた作品です。ぜひ、楽しい気持ちになってみて欲しいです。

【評】

「パラレルワールド」というテーマは、現代社会の現実社会と仮想社会のにも通じるテーマです。眼鏡を通して見た世界は風景がドットによって構成されているデジタル社会。コロナ禍でリアルな授業とオンライン授業を経験した私たちは、もしかしたらこの絵の様なリアルとバーチャルな体験をしていたのかも知れません。でも、この作品の眼鏡を通して見ることができるパラレルワールドは色彩が鮮やかで楽しい感じがします。大変な現実社会もこの眼鏡をかければ楽しい社会に変えられる-その様な前向きのメッセージが込められているような気がします。

福岡県立八幡中央高等学校/くじら/4人

作品名:海底列車

新入生に対する応援メッセージです。海底にある「入学」という駅に電車が停まっている場面を描きました。
海は未知の世界が広がっているように、高校生活で疑問に思ったことや迷ったことがあれば興味を持って調べて色んな発見をしてほしいし、怖じけずに挑戦してほしいという意味を込めました。海の生物たちは個性あふれる仲間達です。

【評】

新入生に対して描かれたこの絵は、海底に電車が走り入学駅で停車しドアが開いている風景です。これからの新しい高校生活を表した絵なのでしょう。クジラやタイ、クラゲやタコ、エイやウミガメ達ははさしずめ個性のある先生達でしょうか?それともこれから出会う仲間達でしょうか。その様なことを考えながらみていると、どのような授業や学校生活が展開されるのだろうかと想像が膨らみ楽しくなってきます。水面に差す光が水中の生きものや珊瑚、そして電車の床まで差し込み、希望を感じさせる作品です。

エリア賞

エリアをクリックすると各エリア受賞作品にスクロールします。

北海道・東北ブロック
(北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)

北海道帯広南商業高等学校/帯南商 美術部 2021/8人

作品名:Dead or Alive

今年は昨年の流れからも締め切りが9月になるとは聞いていましたが、3月にいつものように新入生歓迎のために現2年生と3年生の8名で描きました。コロナ禍での作品制作ということで極力部員同士が接触しないように距離を多く取って、終始マスクを着けたままの作業は思った以上に大変でした。正直完成度は例年に比べて高いとは言えませんが、長く継続していくためにはこういう年もあると割り切って今回は応募します。

【評】

空には沈む太陽なのか、照らす赤い光は二匹の巨大生物に注いでいます。輝く太陽を横切る謎の生物。真ん中に描かれたのは蝶の羽を持った人間なのでしょうか。 タイトルの「Dead or Alive」からこの作品の想像を膨らませると、廃墟となった都会に現れた巨大なカマキリとクモ。その二匹の生き残りをかけた対決なのか、それとも未来の人間に向けられた予言の言葉なのか、それとも…。様々な想像がかき立てられる作品です。この作品の魅力はなんといっても色彩の鮮やかさでしょう。蛍光色のチョークを使っているのでしょうか。赤く焼けた空とクモの赤、対比してカマキリの緑が補色となり画面を強烈に構成しています。

関東ブロック
(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)

埼玉県立大宮光陵高等学校/洗濯者/4人

作品名:真夜中のコインランドリー

この作品をつくるにあたって、最初の下描きが大変でした。コインランドリーの奥行きを出すのが難しく、何度も改良を加えながら描きました。金魚の動きを出すのも難しかったです。ひれをなびかせることで動きをだすようにしました。

【評】

モチーフでコインランドリーと金魚を採用しているのがとても斬新です。また、コインランドリーから溢れる水と、泳ぐ金魚の躍動感、奥行き感など、構図もとても良いです。ひとつひとつリアルに描かれていて、実際のスケールを超えたアートらしさと、異素材の融合とバランス、技術が高く、お見事だと感じました。

東海・北陸・甲信越ブロック
(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)

静岡県立富士宮東高等学校/好奇心/5人

作品名:#マヂメにかいぎちゅ~

今日は月イチでやる会議の日!みんなマヂメすぎて笑


・外出禁止ムリすぎてまぢぴえんだから海賊なってみた(爆笑)

イツメンも楽しいけど~やっぱみんなに参加して欲しい感じだから行けるよ~って人一緒に行かね?(笑)


#月イチ会議 #うちらマヂメすぎわら #海賊系JK #海賊さんと繋がりたい #いいね返し #青春を取り戻せ #コロっちなくなれ #JKブランド #fff #IfI #03live

【評】

女子高生独特の「ノリ」をコミカルに具現化したユニークな作品。海賊映画のワンシーンのような設定に、女子高生がシリアスな会議中というギャップに面白さを感じました。黒板を黒地を上手に生かした、全体的に古い写真のようなくすんだトーン、薄暗い部屋の中で電球が机を照らしているような光の表現も海賊ならではの神秘的な雰囲気をよく醸し出しています。描写に関しても細部に渡ってリアルに描き込まれており、非常に見応えのある作品です。

近畿ブロック
(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)

京都府立福知山高等学校/福知山高校美術部/14人

作品名:仲間がいるから大丈夫

附属中学1年生にプレゼントするために高校美術部全員で描いた作品です。中学生が驚き、楽しめるよう、今年は、教室の黒板だけでなく移動式の黒板も使ってみました。
教室の入口に移動式の黒板を置き、教室に入ってきた生徒を波の絵で驚かせました。教室の中に入ると、大きな黒板と小さい黒板が繋がり、海の中の世界が広がって見えるようにしました。

【評】

画面の中心に迫力があるサメが見事に描かれています。口を大きく開けて襲って来るその右には色鮮やかな魚たち。サメに向かって戦いを挑むように向かっていく様にも見えます。タイトルは「仲間がいるから大丈夫」。中学1年生にプレゼントするために高校美術部全員で描いた作品だそうです。サメは新たな生活を歩みだす中学生を襲う不安な気持ちの象徴でしょうか。右の珊瑚礁は学校生活の楽しさを伝えようとしているのでしょうか。この作品を見て新入生は大いに勇気をもらったに違いないでしょう。サメの肌の描写が見事です。

四国・中国ブロック
(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県)

島根県立江津高等学校/江津高校美術部/5人

作品名:寄り添い合っておやすみ

1人の女性と3匹の動物たちが陽だまりの草むらの中で眠っている様子を描きました。黒板をすべては使わず、草むらをグラデーションでぼかしていくことで、夢の中にいざなわれていく感じを表現しました。どんな夢を見ているのか、いろいろと想像して楽しんでみてください。

【評】

全面をフル活用する出展作品が多い中、左右の余白をチョークのぼかしで上手に持たせていて、全体的にやわらかい印象です。チョークのやわらかなタッチを重視されていて、テーマである寛ぎのシーンを上手に表現されていると感じました。どこか絵本の一部のような、優しい風合いで見ていてとても穏やかな気持ちになれる作品です。

九州・沖縄ブロック
(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)

熊本県立大津高等学校/キドカラーズ/9人

作品名:アフターコロナ

もともとこの作品は熊本県警察本部から交通安全意識啓発動画の出演依頼を受けて制作を始めたものです。過去の黒板アート甲子園の受賞実績で依頼がきたのですが、黒板アートは未経験者ばかりでした。だから制作にあたっては、不安ばかりでした。事前に試作を行い、チョークの乗せ方や明るいところからの描写などで自然に見えるようになることをみんなで体感して要領をつかむことができました。そして依頼の作品を完成させることができ、無事に公開されました。その後、黒板アート甲子園に応募するためにリメイクを行いました。とにかく制作時は「まん延防止等重点措置」の期間でもあり、数々の制約の中でしたので、このコロナ禍が終わることを願い、終焉後の安心感を横断歩道を渡るイメージに重ねて描きました。

【評】

ビートルズのジャケットをオマージュしたような構図が興味をそそります。制服姿で横断歩道を渡る様子は爽やかな青春の香りを匂わせます。見当たり前の光景ですが、よく考えてみれば、すでに町中から消えたノーマスクというぜいたくな非日常。「コロナ禍が終わることを願い、終焉後の安心感を横断歩道を渡るイメージに重ねた」という制作の意図の通り、素朴な日常のありがたみを感じさせる、意義深い作品です。

審査員特別賞

三澤先生選出 香川県立善通寺第一高等学校/オ・レいちご/5人

作品名:変わらない夏休み

この作品は夏休みの帰省のワクワク感、非日常感を表現したものです。コロナ禍で外出しづらいので、私たちの作品で夏を感じてもらいたいと思いこの作品を制作しました。途中コロナの感染拡大によって制作時間が制限されるなどのトラブルもありましたが、五人で協力して作品を完成させることが出来ました。

【評】

夏休みの原風景を見ているようです。カラーで描かれた現代と、モノクロで描かれた昔と交錯するこの絵は見ている私たちにノスタルジーを喚起させます。あの世(過去)から訪れて来た子どもが一緒にスイカを食べています。その存在に気付いているのかどうか、ちょっととぼけた表情でスイカを食む兄弟。畑の向こうを走る電車もあの世の世界を見せています。時間をテーマにしたこの作品は単に現在と昔をコラージュしただけで無く、高校生にとって学校という流れる日常の中で、まるで時間が止まったような非日常の夏休みを描き出しています。夏休みはいつになっても特別な時間に感じます。

熊沢先生選出 静岡県立富士宮東高等学校/りむちゃ/5人

作品名:Hungry high school girl

地図にだって食欲を感じる4限目の私達。地図がモチーフということで形を特に意識し、時間をかけ丁寧に直しながら描きました。色を沢山重ね食べ物の色を忠実に再現したので、完成するにつれ涎が止まりませんでした。

【評】

世界地図をバックグラウンド(背景)にするアイディアが斬新だと思ったことと、日本は世界に誇れるほどどんな食べ物も美味な国であることから、大変興味深く、国籍問わず感心の高い黒板アートのデザインだと感じました。黒板アートの完成度としても一つ一つの食材が丁寧に描かれていることや、両サイドに高校生が登場することで食べ物に対する視点も感じられて良いです。個人的に、物事は何事も世界単位で捉えることがとても大事だと思っているので、今回審査員特別賞に選ばせていただきました。

西村先生選出 潤徳女子高等学校/初日の出/2人

作品名:長い時間の中で

この作品は、一年間という長い時間をかけて作ってきました。これは、タイトルの「長い時間の中で」のように黒板にも長い間色がのっているチョークがあるということです。時間をかけたからこそ出せた色合いがあるので見所だと思います。
特に工夫したことは、月の表面を本物に近づけるため、濡らした雑巾で綺麗な表面ではなく、クレーターなどのゴツゴツ感をだしたことです。
エピソードとしては、お互いの意見が合わずに(現在、銀河があるところの部分)が何回も色々なものに変わっていったことです。ある時は五重塔、バベルの塔、電車…。どれが中央に来るのにふさわしいか悩み互いの意見が合致した時銀河が出来ました。

【評】

息を飲むような静けさと吸い込まれるような奥行きを感じさせる作品。黒い宇宙空間に何も描いてないように見えますが、実は星の周りにはかすかな光彩が施されていたり、銀河の両側には自然に広がるうっすらとした星雲まで描かれていたりするなど、細やかな工夫で埋め尽くされています。「どれが中央に来るのにふさわしいかを悩み、何度も変わって、お互いの意見が合致した時に銀河ができた」、「一年間かけて描いた」などのエピソードから、作品にも仲間にも真剣に向き合う姿勢を伺うことができ、審査員特別賞とさせて頂きました。

日学特別賞

埼玉県立新座総合技術高等学校/シン・縄文土器/4人

作品名:Shall we?

黒板ならではの絵を描きたくて大胆に上へはみ出る構図にしました。黒板の外では何が起きているのか、想像力をかきたてられるような絵を目指しました。

【評】

社交ダンスを踊る男女の足元だけにクローズアップした大胆な構図と、黄色いチョークを効果的、印象的に用いた意欲作です。
ダイナミックで動きのある2人のステップが見事に表現されていることはもちろんですが、注目して欲しいのは床のタイルとそこに描かれた黒い影。タイルの目地部分が先ほど述べた黄色い線で彩られ、制作エピソードに書かれているように、黒板に描かれていない部分で何が起きているのか、見る人のイマジネーションが掻き立てられ、独特の世界観を感じさせられました。

埼玉県立大宮光陵高等学校/きりたんぽ/3人

作品名:Hungry!!!!!

お腹が減って、水中で泳いでいる金魚を食べようとする猫の様子を描きました。金魚を襲う猫のポーズや表情、逃げ隠れする金魚の様子などを特にこだわりをもって描きました。初めての黒板アートで四苦八苦してましたが、最終的に全員が納得できる作品になったので良かったです。

【評】

金魚を襲う猫の表情が非常に独創的でユーモラスです。モデルとなる写真を見つけるのはかなり困難で、制作チームがあれこれ想像し、試行錯誤しながら描き上げていった様子が思い浮かびます。
立体感ある構図も見事で、猫の鋭い爪は今にも引っ掻かれそうですし、必死に逃げる金魚もこちらに飛び出して来そうな迫力があります。動物たちの生態の一瞬間を、純粋に楽しめる作品に仕上がっています。

埼玉県立大宮光陵高等学校/牛脂/4人

作品名:窮鼠猫を噛む

水に一番時間をかけました。水しぶきのところはチョークを水で溶かし、流れはホースやバケツを使って、実際に写真を撮り研究しました。竹林は、竹の鬱蒼として感じや空間を出したり、光の差し込み方に苦戦しました。
虎は模様や瞳、口で迫力を出し、顔と体の前後感を意識しました。みんなでぶつかりあいながらも制作し、完成することができました。

【日学社員の投票で決定した「窮鼠猫を噛む」投票コメント一部を抜粋して紹介】

・躍動感が突出。黒板アートとして、黒板に書いたように見えない点が素晴らしい
・水しぶきの描写が圧倒的でした。凄い!!
・虎の迫力が凄いですし、何より水しぶきがとてもリアル
・水の躍動感、虎の迫力、どうやって書いたんだ!!!、ってくらい驚きの作品
・黒板の地の色を活用しながら濃淡を出しているところ、白い部分も白だけでなく様々な色を使っていて深みが出ているところがいい
・表現の難しい、弾ける水の描写を上手く描いているのが良い
・絵のリアリティーと色の明暗の使い方がよく、時間をかけたのが伝わる
・ステンドグラスのような色使いが良い

アイデア賞

埼玉県立大宮光陵高等学校/阿番我琉怒もヨロシク/5人

作品名:鳥って耳どこにあんの

「高校生らしいテーマ」ということで「○○らしい」という言葉から、LGBTQ+に関する事について、作品の中で触れてみることにしました。そこで性別が容姿によって見分けやすい孔雀を描き、性別の多様性と関連づけようと思い立ちました。孔雀の雄の尾羽は大変美しいことでも有名であり、また雌に求愛する道具であるともいえます。まさに「雄である証」です。しかも我々が画の中に描いた雄の孔雀の姿に、その最も美しい性別の象徴はなく、代わりにフリルなどをあしらったドレスを身につけています。そうすることで、心と身体の性別が合わない彼が、世間の性別に対しての固定概念を無視し、最大限に自分らしく生きる強い姿を描こうと思いました。まだまだ世の中に広く浸透していないLGBTQ+の概念と共に、我々が描きたいと思ったのは、いわゆる「夜の街」です。現在新型コロナウィルス感染症の影響で多くの経営者が営業を制限されています。その中でも「夜の街関連」とされる方々は、たとえ本人たちが感染予防をしていたとしても、「夜の街」というだけで悪いイメージを持たれてしまっているように思います。そういった勝手な偏見や、世間からのイメージに苦しめられながら生きる人々を孔雀の姿に重ねて描くことで、たとえ夜の街やLGBTQ+に直接関わりのある人でなかったとしても、同じような立場の人が勇気づけられる作品を心がけました。

【評】

アイディア賞として今回コメントを読みこむことでデザインの見方が深まりました。主役の孔雀が高度に描かれていることもさることながら、現代におけるLGBTQ+の概念を表現しているとのことで時代をくみ取り描かれた作品として大変印象強い作品です。コロナ禍であらゆる経営者が苦境に立たされていることから夜の街を描いたとのことで、願わくは様々なジャンルの人々に「作品から勇気づけたい」という高校生たちの思いが表現されていて、力強さを感じました。

ユーモア賞

静岡県立富士宮東高等学校/個性つよつよ/5人

作品名:FJKだから許してよ!!

普段学校にいる時は、校則で縛られていて一人一人の個性を発揮することが出来ない。だから色んな色で自分たちの個性を表現してみました。 教室を舞台にしたのは学校に縛られず、女子高生らしくはっちゃけたかったからです。初めての黒板アートで描き方が分からないところや、チョークがのらない部分に手間取ったりなど、困難があったりしましたが、仲間と協力し励ましあって楽しく作業することが出来ました。

【評】

「女子高生の遊び心」が炸裂しています。風になびくカーテンに煽られたかのように、おちゃめな落書き、度を過ぎたいたずら……やりたい放題の風景を背景に、「きゅんです」を書かれた女子高生の真顔からは大胆不敵さを感じます。自由な発想で、女子高生の心情の側面をよく現したユーモア溢れる作品です。

日本白墨工業賞

旭川龍谷高校/旭川龍谷1年B組NO.1/7人

作品名:蒼

初めはとても不安でした。上手に出来るかな他のクラスよりも上手く出来るかなという不安でした。しかし、いざ作業に取りかかるとチームで試行錯誤したりととても楽しくこの作品を作ることが出来ました。もしこの作品が一番をとれなくても、僕のなかではNo.1に輝いた作品だと思います。

【評】

旭川龍谷の校名から龍を中心に置く作品になったのでしょうか。
夜空の色に青系や白チョークが中心に使われていて、夜の静寂がうまく表現されています。
動的な龍と背景の木々がシンプルに描かれていて、描き方が繊細で、それにより夜の静寂がより強調されています。
静寂の中にも温か味が感じられ、観ていると心が落ち着く作品です。

参加校一覧(都道府県順)

北海道帯広南商業高等学校/旭川龍谷高校/札幌龍谷学園高等学校/北海道龍谷学園小樽双葉高等学校

宮城県立古川黎明高校/福島県立会津学鳳高等学校/福島県立福島西高等学校/尚志高等学校福島キャンパス

栃木県立壬生高等学校/文星芸術大学附属高等学校(栃木県宇都宮市)/埼玉県立大宮光陵高等学校/埼玉県立和光国際高等学校/埼玉県立新座総合技術高等学校/埼玉県立熊谷女子高等学校/埼玉県立越谷東高等学校/埼玉県立朝霞西高等学校/千葉県立茂原高等学校/千葉市立稲毛高等学校/千葉県立君津高等学校上総キャンパス/東京都立府中西高等学校/潤徳女子高等学校/佼成学園高等学校/中央大学杉並高等学校/白百合学園高等学校/学校法人新渡戸文化高等学校/東京都立国立高等学校/陸上自衛隊高等工科学校(神奈川県横須賀市)/聖園女学院高等学校(神奈川県藤沢市)/神奈川県立茅ヶ崎北陵高校/神奈川県立藤沢清流高等学校/森村学園高等部(神奈川県横浜市)/神奈川県立茅ケ崎高等学校

静岡県立富士宮東高等学校/静岡県立浜松大平台高等学校/沼津中央高等学校(静岡県)/静岡県立掛川工業高等学校/エクセラン高等学校(長野県松本市)/長野県長野西高等学校/長野県飯田高等学校/開志学園高等学校(新潟県新潟市)/富山県立高岡工芸高等学校/石川県立津幡高等学校/豊田大谷高等学校(愛知県豊田市)

京都府立福知山高等学校/好文学園女子高等学校/大阪府立港南造形高等学校/大阪明星学園明星高等学校/奈良県立郡山高等学校/奈良県立磯城野高等学校/滝川第二高等学校(兵庫県神戸市)/兵庫県立東播磨高等学校(兵庫県加古郡)

香川県立善通寺第一高等学校/広島県立加計高等学校/島根県立江津高等学校/山口県立防府西高等学校/野田学園高等学校(山口県山口市)

九州産業大学付属九州産業高等学校/福岡県立八幡中央高等学校/大分中学・大分高等学校(大分県大分市)/熊本県立大津高等学校/宮崎県立佐土原高等学校/沖縄県立真和志高等学校