※学校名、グループ名、人数、作品画像、作品名、制作エピソード、講評の順で記載
※画像をクリック/タップすると作品を全画面表示できます
作品名:極彩色を纏い
4人の好きなもの、描きたいものを合わせて、色鮮やかなカメレオンを描くことにしました。チョークを水で溶かして描く技法をつかったりして、試行錯誤しながら、鮮やかさの表し方を研究しました。
【評】
チョークを水に溶いて、黒板にかけてできた鮮やかな色彩と形を生かすという、新しい表現方法にチャレンジしたとてもカラフルな作品です。その下地を生かした部分は、周囲の状況によって変化するカメレオンの生態をうまく表現しています。また、カメレオンが黒板消しを持って黒板を消している点もアイデアとして楽しいです。チョークによる表現の可能性を提案し、表現を追求している点にとても好感がもてます。
作品名:腹ペコ女子高生図
私たち高校生は、3時間目や4時間目の授業になると黒板の文字が食べ物に見えるほどお弁当が待ち遠しくて仕方がなくなります。この絵を描いている最中も、絵の中の食べ物を見てみんな何回もお腹が鳴ってしまいました。 このような日常を自分たちなりの食について考えながら描きました。
【評】
もともとの黒板を上手く利用されていて学校の教科の時間割のこととかが描いてあったり、最優秀賞の作品と比べて文字量がすごく多く、食に対しての大事なことを世間にPRできる文がすごく印象的です。また女の子もすごく浮き出た感じで立体感があってとてもいいと思った。
作品名:冒険 ~切り拓く者~
私たちは、卒業を冒険に例え制作しました。進路指導を経て、まだ見ぬ世界に想いを馳せ、自らの手で未来を開拓するという決意を込めました。新たな試みとして、ハンドアートとトリックアートに挑戦し、表現の可能性を追求しました。
【評】
手にペイントをし、それが恐竜になっていくという“変化”を描き、描かれている地図やコンパス、または発掘現場のような情景など、過去や未来、2次元と3次元など様々なモノが重なり交錯していく不思議な距離感や世界観が緻密な描写で丁寧に表現されています。
作品名:かえるの合唱
日常の一コマで私たちの好きな世界観を描きたいと思いました。机の上は日常が溢れるように描き、机の中は非現実的な世界観が広がるように描きました。 カエルは暗くてひんやりした中で活き活きとしている印象があったので、机の中でピアノと共に合唱しているカエルを描きました。
【評】
よく観ると学校の机の中に、ひとつの物語が描かれているような形で、ぱっと見一番目に入ってくる目立つ紫色のかえるがほとんどだと思いますが、その中にグラデーションやきのこも色々な種類が描かれていて、学生らしい可愛い雰囲気でファンタジーな作品だと思う。
作品名:Wonderful Vegetable
第1回大会から参加し、今年で3度目。何を描こうかと毎回悩みながらも、今年は基本に立ち返り、様々な色や彩りを表現するためのものとして地元十勝や北海道でとれる野菜や果物を中心に、黒板全体にちりばめました。
【評】
北海道の特産物を並べて地域をアピールするというメッセージ性もあってチョークならではの綺麗な色使いができていて、画面全体としても色のバランスもよく、バランスの取れた作品が出来上がったと思う。
作品名:一夜の憂さ晴らし
「人の豊かさに殺された生き物達」をコンセプトに、私達よりも小さな生き物たちが私達よりも大きな鯨になり、その腐敗した様を見せつけ何かを語ることもなく、ただ赤い月夜を遊泳する姿を黒板に描き出しました。
【評】
一見ミステリアスな感じがあって、重厚感が他の作品にくらべてあると感じました。一瞬暗い感じがしますが、社会性とかなにか訴求したいことがあるような意味を持たせているアートかと思う。
作品名:再起少女
壊滅した都市を復興させようとする少女の物語を描きました。多くの生き物と共生できる町を目指し、根本は変えられないけど未来は変えられる。長野県の高校生として日本の現状を考え復興の希望を黒板に込めました。 作品は“黒板アート”を拡張する技法を用いて制作しています。
【評】
表現方法がとてもユニークです。最初にチョークの粉をふきつけ、できた下地を消しゴムか何かで抜いて描いているようで、版画のエッチングやドライポイントに似たような表現になっています。その線描の美しさと背景のカラフルさが、不思議な、幻想的な世界をつくり出すことに成功しています。
作品名:#最後の女子会
三年生がメインとなって一つの作品を制作する最後の機会なので、最後の晩餐をオマージュして、女子校らしく女子会を開いている様子を描きました。意見の食い違いなどで衝突しながら、二年生と協力して描き上げました。
【評】
こちらの作品は、小野先生も仰っていたんですけど、黒板の中にホワイトボードがある形で、参考にされている「最後の晩餐」のパロディ版みたいな感じで、女子高生の楽しい日常が描かれている作品で、高校生らしい作品だと思う。
作品名:よかろうが
「よかろうが」とは岡山弁で「いいじゃないか」という意味です。自分の人生なんだから、他人に言われて進むのではなく、自分の決めた道に進んだっていいじゃないかという意志を表現しました。
【評】
右側に「よかろうが」という言葉がたくさん描いてありますが、自分たちの考えを、目のところだけをドンとアップで表現していて工夫がなされています。肌の色を作るにしても、赤と黄色と青と暖色も寒色も混ぜながら、何層にも重ねて色を工夫するというのがなされていて、非常にすばらしい作品です。
作品名:KOKUBAND
折角なら何か面白いテーマにしようと思い、「黒板」と「音楽バンド」を掛けました。 上下式黒板だったので、上下面の奥行きの差によって生じるズレを無くすことに苦労しました。 因みに、ギタリストの持っているピックはチョークになっています。
【評】
真ん中にマイクを持って歌っている高校生。図と地の関係が構図としての面白さを作り出しています。地である背景の黒の面が逆三角形の構図になり、そのことが奥行きとか広がりを感じさせます。白チョーク一本で豊かな明暗の階調を描き出し、力強い作品になっています。
作品名:旅
担当の先生に「頭がおかしくなっている、もう帰りなさい。」と言われる程がんばりました。僕たちは今、旅をしています。
【評】
第一印象としてしつこさがあり、粘り強さがあると思いました。上手く描こうというわけではなくて、絵が好きでまだまだ描き続けたいというような、本当に素直に絵を描きたいという気持ちが伝わってきた作品です。自分たちが絵を描き続けたいという気持ちを持ち続けて欲しいというエールの意味も込めて、この作品を選出した。
作品名:ドラゴン桜
生徒1人1人の進路実現を願い描きました。特にこだわって描いたのは龍の鱗の部分です。 桜の花びらを鱗にする、という案を中心に、美しい世界観に仕上げることができたと思います。 2、3年生だけの初めての共同作業でしたが、より絆を深めることができました。
【評】
時期的には、桜は黒板アート甲子園に必ず毎年出てくるモチーフだと思いますが、ドラゴン桜を描かれたということで、うろこの部分をすごくこだわって描きましたというとおり、ものすごく綺麗に描かれていて、立体感が感じられるのと、ものすごく綺麗にピンクを使って、塗りこんでいるというところを評価した。
作品名:flower
春、新しい生活への期待をこめて制作しました。春の象徴である色とりどりのたくさんの花、穏やかで優しい性格として知られる象を活かして表現をしました。大量の花を地道に描くのは大変で、一目見た時にとてもカラフルに見えるようにしました。
【評】
何も描かれていない余白の効果を生かし、構図としては非常にシンプルなものですが、そのことが色鮮やかな花びらを引き立てることにつながっています。左の象が鼻から吹き出したカラフルな花がだんだん蓄積されて、新しい象が生まれてくるストーリーも素敵な感じがします。
作品名:まだ見ぬ明日へ
ペンギンや気球が空を飛んでいたり、惑星が空に浮かんでいたりとファンタジックな世界観を描いています。気球は未来に突き進んでいくイメージで、ペンギンは空を飛ばせることによって不可能を可能にしたいという思いを込めて、私たち部員になぞらえて描きました。
【評】
昨年優秀賞を獲得した坂戸高等学校ですが、独特のタッチと世界観がもはやこの高校の伝統となりつつあるように感じられます。郷愁を誘うような色合いとぼかしの技術がこの作品の特徴ですが、一方でそれと対照的なくっきりした色抜きで、黒板の地の色を上手く生かして、メリハリのある逆光の明暗を作り出しています。ファンタジックな世界観を通して「まだ見ぬ明日へ」のワクワク感を、上手く引き出している作品です。
作品名:美術室の住人たち
美術室の黒板には、私達が入学する前から、K先生とそれまでの美術室が大好きだった先人の美術室の住人たちのメッセージでいっぱいでした。今回、自分自身を黒板に住みついた生き物として描き加え、新旧の美術室の住人たちを表現しました。"芸術は人生を豊かにする。"ことを体現するために。
【評】
かなりカオスな作品ですが、とにかく感じるのは、美術・芸術への情熱です。空想あり、文字によるメッセージあり、数学的な記号や紋様ありと、かなり欲張った素材が散りばめられていますが、ひとつひとつの表現にはしっかりした技術の裏付けがあり、ずっと見ていても飽きません。若々しい情熱のほとばしりが画面を通じて伝わってくる、味わい深い作品です。
作品名:校歌斉唱
気づけば教室に溢れんばかりの人。野球部員、マネージャーさん、保護者の方々、噂を聞きつけ駆けつけた先生方。描いたきっかけは定年退職を迎える野球部顧問の先生に喜んでもらいたかったから。春休み8日間をかけて描いた黒板は、皆に愛され、惜しまれ、消えていった。最高の夏を願って。
【評】
横長の黒板の特性を生かして、18人の部員がずらりと並び、その向こうにはスコアボードと青い空。とても高校生らしい、すがすがしく爽やかな感じが好印象だった作品です。ひとりひとりの野球部員の後姿にもそれぞれに個性があって、ストーリー性・メッセージ性の高い作品ですが、それも確かな表現力に支えられています。甲子園を目指す野球部と、黒板アート甲子園の頂点を目指す美術部員の皆さんの連帯感が、温かく伝わってくる作品です。
作品名:ERROR WORLD
全員が黒板アート初体験だったので、慣れない作業に苦戦しながらも楽しく制作できました。 私達のふるさとである長崎の名物を取り入れつつ実験室や太陽など、様々な要素を合わせました。制作時、タブレットでタイムラプス撮影を行い、黒板が彩られていく様はとても感動的でした。
【評】
デザイン性がある目を引いた作品です。長崎の作品ということで、ちゃんぽんがあったりカステラがあったり、チューリップがあったりじゃ踊りの龍のうろこがあったりとか、地域ならではのもので構成されていて、非常にアピールできる作品になっていると思います。画面全体を使って色塗りの配置とかの工夫がなされていて、すばらしい作品だと思う。
作品名:儚
飼い主の気持ちを理解して笑っている犬の純粋な気持ちを表現しました。人間へ素直に笑うことの大切さをこの作品で伝えられたらいいなと思います。
【評】
真ん中にかわいらしい犬がいて、これを描いた作者のペットなのか犬のかわいらしい目であったり、表情であったり、よく犬の内面性が表現されているなと思います。構図としてはシンメトリーで、非常に大胆な構図というのも非常に印象的でした。
作品名:CSA (Cyber Space Addiction)
この作品は現代の若者の仮想現実(スマートホン)への依存の警告を描いている。この問題は大きく複雑であり、未来にも大きく影響してしまうだろう。 私はこのテーマを壁として黒板にストリートアートの手法を用いて表現した。
【評】
スマートフォンとスプレーアートと組み合わせ表現することで、より明快に力強く、現代の時代性と社会状況を風刺した作品になっています。黒板全体を埋め尽くすのではなく、黒板の余白を生かして、真ん中に視線を集める工夫がされています。
作品名:佐土原高校へようこそ
先輩が向こうから「ようこそ」ってのぞいている情景を表しました。
【評】
この賞の名前の通り、非常にユーモアがあって、この作品を見たらみなさんが笑いが込みあがるような、楽しい作品だと思います。教室に入ったら、皆が笑顔になるようなそういう心温まる作品だとおもいます。斬新なガラスに顔をつけているような工夫がなされていて、大胆な中にも細かい工夫がなされていて、楽しい作品だと思う。
作品名:変色竜 ~擬態していく3年間~
この作品は新入生へ向けて描いた作品です。新入生が高校生活を送る中で、カメレオンのように様々な色に変化することができて、可能性は無限大であることを表現しました。時には辛いこともあるかもしれませんが、充実した3年間を過ごしてほしいという願いを込めて描きました。
【評】
他の作品では卒業の記念にというものが多かった中で、この作品はこれから入学されてくる方たちに向けたメッセージがあります。無限の可能性を秘めてどんな色にでも変われるカメレオンが描かれ、その先には将来の社会へと導かれているかのような点が選定のポイントになりました。また黒板の地の色が見えている余白の部分が丁寧に描かれているところも良くできていると思います。
作品名:かける
本作品は希望溢れる未来に飛び立つ私達を表現しています。また未来が平和であるように願いを込めて白い鳩を描きました。注目してほしい部分は近未来の独創的な建物と豊かな表情、鳩の羽です。時を翔ける私達と空に架けた虹。私達がゆく未来に幸福あれ!
【評】
鳩に中学生が乗って、未来に向けて旅をしているような図柄です。非常に中学生らしい発想で丁寧に描かれていて、とても好感が持てます。未来の風景を想像しながら、楽しく描いている様子が伝わってきます。左右の風景と、虹や鳩の描写の違いがこの作品を力強いものにしています。
作品名:時の流れ
卒業生の後ろ姿を見送って、残り一年の重さを感じました。左手の男の人と右手の女の人が手を差し伸べる構図で出会いと別れを、日本の四季の移ろいで時間を、季節のモチーフで、これから作っていく思い出や学びを大事にしたいという気持ちを込めました。
【評】
作品コメントにあったように、左から男性から女性に向かって、出会いと別れを表現しているということと、和風な絵で年齢的にもまだ若いですが、和風を意識してすごく描かれていると思いました。あと一生懸命金魚も描いている感じが見ているだけで伝わってくるのでかわいらしい作品だと思い選出した。
作品名:夢をもつかぎり 努力するかぎり 夢は遠くない
今までの学校生活を振り返りながら、私達の学校の中庭を丁寧に描きました。題名は、石碑に刻まれている言葉です。大変でしたが、3人で協力し合い、中学校生活最後の良い思い出を作ることができました。
【評】
思い入れがある場所なのか、学校の石碑を描いてある作品です。自分の身近なところからモチーフを探し出すということに、すばらしいと思いました。真ん中に50という大きな数字がありますが、この意味を知りたいなという気持ちになりました。限られた色で、緑とピンクで少ない色でここまで表現ができることに感心した。
複数のグループよりご応募頂いた学校の中から、特に秀作が多かった高校を表彰します。(応募作品数10作品)
高等学校(五十音順)
青森県立青森中央高等学校
青森県立八戸東高等学校
秋田県立湯沢翔北高等学校
石川県立金沢桜丘高校
岩手県立大船渡高等学校
エクセラン高等学校
岡山県立総社南高等学校
岡山県立玉島高等学校
沖縄県立具志川高等学校
沖縄県立八重山高等学校
香川県立高松西高等学校
香川県立高松南高等学校
神奈川県立藤沢清流高等学校
神奈川県立弥栄高等学校
九州産業大学付属九州産業高等学校
熊本県立大津高等学校
熊本県立岱志高等学校
高知県立高知西高等学校
好文学園女子高等学校
金光八尾高等学校
埼玉県立大宮光陵高等学校
埼玉県立越谷東高校
埼玉県立坂戸高等学校
埼玉県立所沢西高等学校
埼玉県立新座総合技術高等学校
佐久長聖高等学校
静岡県立掛川工業高等学校
静岡県立浜名高等学校
静岡県立富士宮東高等学校
誠恵高等学校
千葉県立安房高等学校
千葉県立市川工業高等学校
千葉県立上総高等学校
千葉県立京葉高等学校
千葉県立館山総合高等学校
千葉県立船橋北高等学校
千葉県立船橋古和釜高等学校
千葉県立松戸高等学校
千葉県立薬園台高校
東京都立田無高等学校
東京都立府中西高等学校
東京都立武蔵村山高等学校
徳島県立川島高等学校
長崎県立島原高等学校
長崎県立長崎西高等学校
長崎県立長崎明誠高等学校
長野県長野西高等学校
奈良県立生駒高等学校
奈良県立郡山高等学校
奈良県立磯城野高等学校
日本大学高等学校
兵庫県立東灘高等学校
福岡県立八幡中央高等学校
福島県立会津学鳳高等学校
北海道帯広南商業高等学校
三重県立四日市高等学校
美濃加茂高等学校
宮崎県立佐土原高等学校
陸上自衛隊高等工科学校
中学校(五十音順)
近江八幡市立安土中学校
カリタス女子中学校
京都府立洛北高等学校附属中学校
倉敷市立連島中学校
四條畷市立四條畷南中学校
静岡県浜松市立三方原中学校
下伊那郡高森町立高森中学校
高島市立今津中学校
智学館中等教育学校
茅ヶ崎市立円蔵中学校
東京大学教育学部附属中等教育学校
東京都板橋区立中台中学校
名古屋市立神の倉中学校
名古屋大学教育学部附属中学校
新潟明訓中学校
韮崎市立韮崎東中学校
福井県立高志中学校
守谷市立愛宕中学校
応募1作品につき
チョークセットプレゼント
天神チョーク
(白・カラー・蛍光 各6本セット)
日本白墨工業株式会社
http://www.tenjin-chalk.co.jp/
審査員総評
小野 大輔氏(長崎県立島原高等学校教諭 長崎県立島原商業高等学校教諭)
今回審査にあたって、本当にいい作品がたくさん応募されていると感じました。特に最優秀賞に輝いた作品については、今までのチョークの使い方を覆すような、新しい感性を持った作品が生まれたと思います。まず、チョークを水に溶かすということが新鮮であり、ドライな質感のチョークでウェットな表現ができるということに非常に関心を持ちました。また、それ以外にもたくさん高校生らしい作品がありました。身近なところからモチーフを探しているものや、自分たちが頭の中で考えていることを形にしているものなど、高校生ならではの気持ちがこの黒板アートを通して伝わってきました。今後の展開としては、これまでの表現をもっと深めていったり、より広がりを持ったりした作品が出てくると思うので、次回も楽しみにしています。
熊沢 加奈子氏(チョークアーティスト)
年々作品のレベルが上がってきているのと、こんなにチョークに色々な種類があるのかと錯覚するくらい、綺麗な色を生み出しているのが印象的でした。例年にくらべ、イラストの幅が拡がるようなストリート系の絵やアーティスト性を持った個性の強い作品が多い印象を受けました。自分たちが表現したい絵やその想いを大きな黒板をキャンバスに描くのは面積の配分もかなり大変で、時間もとてもかかると思いますが、10代の学生たちが、学校の黒板をキャンバスにして、皆で力を合わせて描いているのがとてもよく伝わってきて、毎年すごく微笑ましいと思って拝見しております。年々構図や技術レベルが上がってきていて、今後全国各地からのどんなあらたな作品が誕生するのか、とても楽しみです。
三澤 一実氏(武蔵野美術大学 教授)
今回集まった作品では今までにない技法への挑戦が目立ちました。今まではチョークで塗って描く、線で描く、ぼかす表現が中心だったのですが、今回はそれに対して、消し方を工夫するとか、水に溶いて黒板にかけたり、吹き付けたりと、自分たちの表現したい主題にあわせて表現技法を挑戦的に追求している作品が多く今後の可能性を感じました。一方、白いチョーク1本で描く直球勝負の作品もあり、こちらも大変新鮮に見えました。作品の密度も高くなってきており、どの作品も甲乙つけがたい中で、やはり何をどのように表すかという主題の設定がポイントかなと感じます。自分たちが表現したいことを十分に表現するために、黒板やチョークをどのように扱うか計算し、構図やモチーフにアイデア出しながら取り組んでいる様子が伝わり、見ていてとても心が惹かれました。
吉田 朋弘氏(日学株式会社 代表取締役社長)
本年も数多くの作品が寄せられたこと、主催者を代表して心より御礼申し上げます。回を重ねるごとに生まれてくる斬新なモチーフや色使い、次々に編み出される新しい描画技法に、黒板アートの可能性と中高生たちのみずみずしい感性と創造力を感じさせられ、私もパワーをもらっています。私が今回、特に嬉しかったのは「ジュニア(中学生)の部」により多くの応募が集まったことです。黒板アートをより多くの皆さんに楽しんでいただくためには、頂点を高めることと、裾野を広げることの両方が大切だと考えます。その意味で高校生たちのレベルが毎年上がっている一方、より年齢層の低い中学生の皆さんからも秀作が集まったことは大きな意義があります。ご協力いただいた各校の先生方に感謝いたします。今秋、大会の作品集が発刊される予定ですが、次の世代の「黒板アーティスト」達の参考にしてもらえるものと考えています。先輩たちの功績を礎にさらに進化を遂げ、新たな驚きと感動をもらえることを楽しみにしています。