日学・黒板アート甲子園®2025大会
黒板の部(メイン大会)結果発表
最優秀賞・優秀賞・入賞ノミネート作品
11月24日(月・祝)開催の表彰式にて、「最優秀賞」「優秀賞」「入賞」が決定します!
※以下、ノミネート作品は応募順に掲載しております。
埼玉県立大宮光陵高等学校/今北産業/4人
作品名:泡の届かぬ会話
この作品は、入学式という新しい出発点で感じた「孤独」を、水中の廃墟で表現しています。周りに新しいクラスメイトがいる中での孤立感や集団に溶け込めないもどかしさを、水中の生態系を通じて描きました。崩れかけた校舎が水没している様子は、入学式の騒がしさの中での内面的な孤独を表しています。 中心の魚やクラゲが「集団」の安心感を表現しています。一方、輪から離れた場所にいるのが一匹のベタです。ベタは単独行動を好む魚として知られていて、ここでは「集団に属せない存在」としての孤独を表現しました。 ベタの後ろの黒板を暗くし新しい環境への不安を強調しつつ、ベタが優雅に泳ぐ姿や差し込む光には孤独の中での「強さ」や新しい生活への「希望」も込められています。 ○力を入れたところ〈ベタの鱗〉 逆光で暗くなりつつも、見る人の目を引きつけるように瞳付近や光を受ける部分は蛍光色や白を使い細かく描き、明度差を意識して描いた。 〈窓の外〉 水の中なので暗くしながらも、これからの学校生活に少しの期待と希望があることを示すために、水面から光が差し込み校舎の中を照らすように描いた。チョークの密度を高くするために忍耐強く何度も色を重ね、白や黒板の色とのグラデーションにはより力を入れて描いた。 〈植物〉 全体のバランス感や、廃校の廃れた様子を描くために、より力を入れて描いた。右側は青色と緑色を混ぜ、水中にある草に見えるよう描き、ベタ側の草を暖色や蛍光色にすることによってより目が主役のベタに行きやすいように描いた。 〈泡〉 全体のバランスや情報量の差を埋めるために描いた。背景を消しすぎず、泡が上に昇る様を魚眼レンズの構図に落とし込めるようパースと奥行きを意識して書いた。
埼玉県立大宮光陵高等学校/いかのおすし/2人
作品名:仙鶴の逢引
真っさらで何も無い雪景色に、鶴が二羽だけで歩いている場面を描きました。夏真っ只中の今、涼しさを感じるように白と青、赤の3色だけで塗り、濃淡で変化をつけました。心が静まるような雪景色と、そんな世界でひそかに歩く鶴のロマンチックさを感じてほしいです。
埼玉県立新座総合技術高等学校/えっしゃーず/4人
作品名:飛紅図
エッシャー図形にインスパイアを受け、だまし絵の世界を楽しんでもらえるような作品に仕上げました。エッシャー図形は初めての試みで、製図の際は用紙を切って貼り付けてみたりして、チームメンバーと話し合いながら制作しました。
福島県立会津高等学校/会津高校美術部/11人
作品名:古今の契り
今回描いたのは、私たち会津人にとって歴史のシンボルである白虎隊士と現代の女子高生です。自刃した白虎隊士たちは今の私たちと同年代でした。女子高生が飛び出しているのは学校新聞です。新聞は過去と現在の橋渡しをしてくれるメディアです。過去と現代とを隔てる壁を越えて、昔の人たちと私たちが繋がる世界をイメージしました。壁の彼方の青空には希望を託し、中央の輝きはタイトルどおり「契り」を象徴して描きました。これは私たちがより良い未来を創るぞという決意です。この作品で、過去と現在、そして未来への希望を伝えたいです。
愛媛県立松山西中等教育学校/ぺぺろんちーな!/2人
作品名:青眼
黒板を横にすることしか意識がなく、なかなか構図が浮かばないなと悩みながら寝っ転がったところ、縦の黒板をひらめいて描き出しました。
好文学園女子高等学校/好文学園黒板アートチーム元祖/14人
作品名:虹の向こうへ
今回の作品は暗い天気の中で雨上がりの虹を見つけた時の様子を描いています。 電車の廃線は親や先生によってレールを敷かれている状態、通り雨は重く暗い気持ちの落ち込みを意味しています。私たちは高校生活の中でたくさん考えなければならないことがあり、時には将来への不安や人間関係の悩みという壁に当たってしまうことがあります。でも視点を変えてみると周りには綺麗な景色や希望が溢れていて、その美しさに目を向ける気持ちがなかっただけで、敷かれたレールは自分の思い込みが作り出したものであったと気付きます。 雨が止んだあとに晴れた空にかかる虹は、これからの将来への希望をイメージして描きました。私たちにはどんな状況でも自分自身で将来を切り開く力があり、いつでも皆で前を向いていきたいということを表現しました。
メイン大会 受賞作品
※学校名、グループ名、人数、作品画像、作品名、制作エピソード、講評の順で記載
※画像をクリック/タップすると作品を全画面表示できます
エリア賞
エリアをクリックすると各エリア受賞作品にスクロールします。
北海道・東北ブロック
(北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)
会津学鳳高等学校/チーム学鳳/12人
作品名:猛勢の華
私たちの作品のテーマは「不屈の魂」です。 私たちの高校がある会津若松市の勇敢な少年部隊、白虎隊にちなんで白虎を描きました。 背面の滝や、左右から出る荒波にも揺るがず進んでいく虎の姿から逆境や厳しい状況に立ち向かった白虎隊の精神を表しました。背後に咲き乱れる牡丹は、富貴の花として色々なデザインに用いられていることから、勇猛果敢に突き進む白虎の名誉を表しています。 制作場所にクーラーがなく、暑いところでの作業でしたが、チーム一丸となって最後まで頑張りました。
関東ブロック
(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
埼玉県立大宮光陵高等学校/破壊神Ⅴより愛を込めて/5人
作品名:夢想の産物
この作品のテーマは今の私たちです。窓の向こう(自分の殻の向こう)こんなにも綺麗で大きな世界が広がっている。それに気づいたとき、きっと自分にとって大きな変化になるという意味を込めました。海月は私たちが目標とするもので夢への憧れ、未来のためにこの学校を選んだ私たちの思いを表現しました。まだ殻を破れずにいる私と、殻を破り自分の目標とする姿になれた海月の対比を描きました。
【評】
4枚の小さな黒板を組み合わせて縦構図の作品にしています。画面下には二つの世界を隔てるガラスに手を当てて巨大なクラゲを見つめている高校生(私)がいます。見つめる向こうの世界には高層ビルが建ち並び、力強く上昇する巨大なクラゲ。その頭部は見る人に月面を想起させ、より一層、その大きさを感じさせます。クラゲは将来への希望であり夢であり、ガラス越しに見ている私の心そのものなのでしょう。天井が高い壁面に設置して見てみたいですね。
東海・北陸・甲信越ブロック
(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
福井県立鯖江高等学校/「戦え!美術部」7人/7人
作品名:one's own color
約5年前、コロナの流行により、マスクをつけた状態でしか人の顔が分からない、「マスクの下はどんな顔だっけ」ということが起こった。しばらくの間、本当の顔、表情、その人らしさというものが希薄な状態で私達は生活してきた。しかし、マスクの下には、本当のその人らしさ、すなわち「個性」が一人一人にある。この作品のテーマは「個性」だ、スマホの画面外では、暗くマスクをした人が静かに止まっている。画面内では明るく、様々な人が動いている。このように、自分らしさを探したり見つけた自分自身の個性を大切にしていきたいという思いを表現した。
【評】
コロナ禍で体験した閉塞感を色褪せたリアルの教室に託し、その時に取り戻したいと切望した鮮やかな未来をスマートフォン画面に託したところが、この時代ならではの巧みな構成です。画面の色が照り出してリアルに色を染めているところも、静止画ながら動きを感じさせ、より豊かなストーリーテリングとなっています。個性とリアルの繋がりの重要さを考えさせるきっかけを与える作品となっています。
近畿ブロック
(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)
西宮市立西宮高等学校/かき氷と花火の巨匠たち/8人
作品名:氷菓山
短い高校生の夏の期間を部員で力を合わせて一つの作品を作り上げることに尽力しました。ありえないものが融合した世界観は今年の部員らしい特色を出せたと思います。特に花火は描き方を研究し、描いては消し描いては消しを繰り返しました。ありえない世界ですがリアルな質感を出すために想像で書くのではなく、資料を見て追求し続けました。その結果、大胆さと繊細さを兼ね備えた優美な作品に仕上がりました。
【評】
夏の風物詩である花火とかき氷を融合させたデザインに面白さを感じました。また、花火のダイナミックさやチョークの質感、描き方が非常にまとまって表現されており、見る人が感心する黒板アートと思います。
四国・中国ブロック
(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県)
広島県立加計高等学校/加計高校美術部/12人
作品名:この春、君を待ってた。~春の教室と、安芸太田町の風景~
この作品は新入生へ贈る、歓迎の気持ちを表す黒板アートです。 今年は「春の教室と、安芸太田町の風景」というテーマを設定し、入学式当日に喜んでもらうため、春休みや土曜日も1年生の教室に通って、美術部12 名全員で描きあげました。 制作では、構図を決めるところから悩み、アイデアスケッチを全員で持ち寄り、案を決める段階から何度も話し合いを重ねました。描き始めてからは、大きな絵を描ける楽しさもありましたが、構図・色づくり・明暗の表現など多くの壁にもぶつかりました。こうした壁を乗り越えるべく、部員同士で相談し、協力しながら取り組みました。一人ではなく協力して取り組んだことで作品は完成し、皆で取り組んだからこそさらに良いものになったと感じました。全員がそろう日はなかなか作れませんでしたが、1人につき少なくとも1パートは必ず描き、全員が携わったことで「皆で描いた」という達成感も感じることができました。入学式当日、新入生からの喜びの声をもらったほか、在校生・先生方からも「いいね!」「頑張ったね!」といった言葉をもらうことができ、深い喜びを感じました。完成した作品が、加計高校がある安芸太田町の自然の魅力や歓迎の気持ちを新入生に伝えられるような作品に仕上がり、私たちは「描き、伝えることの素晴らしさ」も改めて感じることができました。
【評】
春の訪れと新入生を迎える温かな気持ちが感じられ、見る人を優しく包み込みます。美術部全員で意見を出し合い協力して仕上げた過程が、絵の完成度やぬくもりになっているのだと思います。新入生への歓迎の思いと地域への誇りが素直に表現された好感が持てる作品に仕上がっています。
九州・沖縄ブロック
(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)
福岡県立八幡中央高等学校/LV.17/8人
作品名:冒険のはじまりだ
新入生歓迎のサプライズアートとして制作しました。作品のテーマは冒険ゲームで、主人公のように個性を大切にし、仲間と協力しながら様々な困難に立ち向かってほしいという想いを込めました。消しゴムやハッチング技法を用いてチョークの固有色だけでは表現できないカラフルな色彩を表現しました。八幡中央の伝統である黒板アートに今までなかった取り組みとして中黒板・小黒板をゲームのサブ画面に見立てて描き、より密度のある作品に仕上げました。
【評】
新入生歓迎のサプライズとして描かれたそうです。この作品を見た新入生は感動し、これから歩もうとする高校生活に大きな希望と勇気をもらったことでしょう。太陽の光を受けて染まる服や表情の色彩表現がとてもきれいで見事です。また小さな黒板を組み合わせることでメインの黒板で表した空想の世界を、新入生が見ている現実世界とつないでいるようにも感じます。左の小さな黒板は部活動をイメージさせ、等身大の高校生の日常と結びつけ、右の小さな黒板はゲームそのもの画面です。このアイデアは面白い。
審査員特別賞
三澤先生選出 新潟県立五泉高等学校/五泉/3人
作品名:ひゃんで綺麗な自然
三年生で忙しい時期なので、あまり時間が取れず納得のいく状態には出来ませんでした。
【評】
なんとも言えない味のある作品です。稲刈りの風景でしょうか。たわわに実った稲の様子。半年をかけて育てた収穫の喜びを伝えるおじいちゃん。空には白鳥でしょうか。これから迎える渡り鳥の季節を予感させます。この作品は、田圃での稲刈り風景だとすると、稲と空の境界線の描き方や水田の奥行き感に現実との違いを感じるかも知れません。しかしこの違和感が作品の魅力につながるのが絵画です。色彩のトーン、色味、「なんときれいな自然」と言いたくなるのがわかります。
熊沢先生選出 埼玉県立大宮光陵高等学校/エジプト好き/3人
作品名:美術学生の壁画
制作期間内にメンバーが風邪をひいて参加できなかったり、部外者によって落書きされたりなどのアクシンデントがありましたが、皆で力を合わせて完成させました。
【評】
どのようにしてチョークの色調合をしたのだろう、と感心するほど、非常に美しい色合いと中央にレイアウトされた世界観、そして全面からひしひしと伝わるエジプト感と重厚感に溢れる技術力に感銘を受けました。
西村先生選出 渋谷教育学園渋谷高等学校/しぶしぶ/10人
作品名:シブヤにダイブヤ!
元々私たちの学校は狭く、黒板アートに使えるような大きい黒板がありませんでした。そこで美術部の先輩たちが一から板を組み、やすって、染料で黒く染めて大きな黒板を作り上げました。しかし先輩方は黒板の作成に時間を取られ、黒板アートを完成させることは出来ませんでした。それから2年ほどその黒板は美術室の落書きやミーティング用としてしか使われることはありませんでしたが、今年こそは黒板アートを完成させようと高一高二で協力して制作することを決めました。自作の黒板であるが故に、やすりがけにムラがあり、チョークが乗りにくいところがある点が凄く難しかったです。またどのような絵を描くかという話し合いは私たちの学校が渋谷のど真ん中に立地しているということから始まりました。私たちはしがない高校生だけど、夜ギラギラと輝く渋谷の街の中心で生活しているというギャップの面白さを絵にしようと決まり、迫力のある構図を考えてこのデザインに辿り着きました。初めて黒板アートに取り組み、街と人の明暗やコントラストがとても難しく色々試行錯誤しながらでしたが、皆んなが納得できる素晴らしい作品になったと思います。
【評】
自作した黒板で挑戦できなかった先輩の夢を、後輩たちが受け継いで見事に実現したエピソードを興味深く拝見しました。描きづらい自作黒板と格闘しながらも、渋谷の街へ軽やかにダイブする人物を迫力ある構図と豊かな色彩で描き出し、まるで絵本の1ページのような物語性を持つ作品に仕上がっています。
日学特別賞
埼玉県立大宮光陵高等学校/亀坪彩愛/3人
作品名:!!!!顔ス!!!!
今年も暑いです。カオスです。
【評】
タイトルの「顔ス (Chaos) 」を読むまでもなく、黒板いっぱいに迫る酷暑の迫力が、混然一体となって迫ります。背景は夏を象徴する文様で彩られ、燃え盛る太陽のように画面を包み込みます。その中心に、汗で化粧も落ち必死に耐える女性の顔が、はみ出すほど大きく描かれ、観る者を圧倒します。ユーモラスでありながら確かな画力に支えられ、印象深く心に刻まれる作品です。
常葉大学附属菊川高等学校/とねしげギャラリー/5人
作品名:今日、すくいました。夏祭り編
制作期間中に5人お祭りに行きました。早退者2人(3日目までの協力者)がいたので残りの5日間は3人で頑張りました。「もっとこうした方がいい」など制作中に声をかけ合い苦戦しながら模索して描きました。
【評】
黒板の中に黒板を描くという黒板アートならではの構図により、金魚や提灯が飛び出すように表現され、迫力ある立体感を生み出しています。鮮やかに映える赤は夏祭りの象徴として描かれ、生き生きと泳ぐ金魚は、提灯の灯りや夜空の花火と響き合い、観る者に情緒あふれる日本の夜祭の記憶を呼び起こします。楽しい夏のひとときを共感させる作品です。
※この作品は、日学株式会社の社員投票により選出されました。
・今にも飛び出しそうな立体感が良いと思います。
・ヒレの透明感や提灯の臨場感がうまく演出できているので目に留まりました!
・遠近に違和感がなく下から鳥居を見上げている様子が分かりやすいです。金魚の透明感が綺麗。
・全体的に柔らかな色合いが綺麗です。提灯が灯り花火も背景に上がっているので夜祭だと思うのですが、しっかり夜の薄暗さを感じられる色の使い方が上手ですね。色の淡さと濃くしっかりした色の使い方と提灯の柔らかな描写が、チョークを使って描いている黒板アートなのだなと感じました。
・まず目に飛び込んできたのは、金魚と提灯の色使いが綺麗で圧倒されました。夏の風物詩も多く盛り込まれていて、奥行きの表現も丁寧に描かれています。夏祭りの楽しい記憶が蘇る良い作品に感じました。
埼玉県立大宮光陵高等学校/ほぼ川口/4人
作品名:わたりどり
高校に入ってからすぐに習った羅生門からインスピレーションを受けました。羅生門は主人公を、入る前と後で変化させる舞台装置の役割を担っています。画面上の学校は私たちに様々な変化を与える舞台装置です。そしてカラスは私たちです。全ての人がそこへ飛び込み、先へ飛んでいく勇気を送れれば良いなと思います。
【評】
自分達をカラスに見立て、学校という「羅生門」を潜り抜けて、黒板いっぱいに力強く羽ばたき、未来へと飛び立つ姿が印象的です。黒板の地色を活かした羽の陰影、鮮やかな光彩の対比が目を引きます。重厚な色合いに込められた不安や葛藤を越え、希望へ力強く進む勇気を感じさせる構図で、青春の躍動感が伝わる作品です。
※この作品は、日学株式会社の社員投票により選出されました。
・羽ばたいた鳥を黒板の下半分を使ってダイナミックに描がかれており、黒板の中心にある黄色い輝きに目を惹きました。
・黒板の地の色をうまく活用し、躍動感ある渡り鳥だと思いました。センターの空もキレイな発色で驚きました。
・カラスが綺麗な黒で描かれており、行く先に期待して飛び立っているように感じる作品に仕上がっていると思います。
・黒板アートに込められたストーリー性が素晴らしいです。
・高校へ入学し不安があるかとは思います。誰もが不安を抱える中、前を向いて新しい事へチャレンジしていくには勇気が必要ですが、力強さと前を向く大切さを感じられる黒板アートでした。
アイデア賞
埼玉県立大宮光陵高等学校/蝶長率いる蝶班ちょうちょうがんばった/4人
作品名:現実逃飛
私たちは今回、どんなに辛いことがあっても人生は必ず変容していくものだというメッセージを蝶に託し、この黒板アートを描きました。黒板アートを描くにあたって構想を練るとき、細かいものはあまり決めずに描き始めました。その影響で描いたものを何回も消したり意見がぶつかったりしましたが、班内でどうしたらコンセプトを伝えられるか話し合い、試行錯誤を繰り返しながら進めて行きました。黒板アートをやるのは初めてでしたが先生方や友達と方法を模索しながら、私達なりの描き方で仕上げることが出来たと思います。特に力を入れたのは輝きながら羽ばたいている蝶たちと水の質感です。蝶の細かい模様や輝きをチョークを何層も重ねて表現しました。画面の中心に佇む少女が目線を向けているように、目を引くよう赤い蝶には特にこだわりました。水はその流動性を表現するためにスパッタリングをして、細かい明暗をとても長い時間をかけて完成させました。水に紛れ込むモノクロの枝たちもポイントです。
【評】
幻想的に羽ばたく蝶や光、傘に降り注ぐ水の表現が、まるでプロモーションビデオを見ているかのような映像的な動きと音を感じさせます。黒板を三枚使い、真上から撮影することで重力さえ交錯するような不思議な感覚を生み出した独創的な点を評価しました。
ユーモア賞
埼玉県立新座総合技術高等学校/ねずみちーむ/4人
作品名:御子様昼飯世界
想像力で溢れていた幼い頃に見えていたお子様ランチの世界を浮世絵風に表現しました。アウトライン一本一本、黒板の地の色を出すため、綿棒でチョークの粉を落としていくのが大変でした。あの頃のような想像力を忘れないようにしたい。そんな気持ちで制作しました。
【評】
浮世絵が食べ物で表現されることで色使いが非常に明るくなり、ポップでユニークな画風でユーモア賞となりました。遊び心を忘れずに見る人を笑顔にするようなデザインは、いつの時代も持ち合わせていたいと思わせてくれる作品です。
日本白墨工業賞
福岡県立八幡中央高等学校/くじらのこ/10人
作品名:共創~不可能を可能へ~
八幡中央高校の名物である桜並木が倒木の可能性があるため、今年でしばらく見納めになってしまいます。少しでも多くの人の心に記憶が残って欲しいという私たちの想いと新生活の始まりとして桜を描きました。また、新入生に向けて、桜を高校3年間の始まりとし、3年間の思い出をパズルに見立て、「クラスメイトと共に、思い出のパズルを創って欲しい」をテーマにしました。クジラやペンギンなどの生物は本来空を飛ばない生物ですが、「不可能を可能にして欲しい」という想いを込めて制作しました。
【評】
この作品は、八幡中央高等学校の象徴である桜並木が見納めとなる現実を背景に、「記憶に残したい」という願いを満開の桜に託しています。淡い色彩や伸びやかな曲線は、卒業や新入生の門出という人生の節目を鮮やかに映し出し、郷愁や特別な思いを呼び起こします。
さらに、クジラやペンギンといった本来空を飛ばない生き物を描くことで、「不可能を可能に」という高校生らしい挑戦の心を示しています。パズルのピースという発想もユニークで、「高校三年間の思い出は仲間と共に創り上げるもの」というテーマが明確に伝わります。
黒板という儚いキャンバスに託された表現だからこそ、一瞬を全力で生きる高校生の熱意と新生活を迎える後輩への応援の気持ちが重なり、観る者に感動と希望を与える力強い作品となっています。
新人賞
埼玉県立芸術総合高等学校/DDD/7人
作品名:ギャラクティックドッグ
黒板アートの原案がなかなか決まらず、かなり遅めのスタートとなりました。さらに、チョークの粉がなかなかのらず苦戦しましたが、みんなで協力し制作に取り組むことができました。今回、モチーフがコックピットということもあり、動線部分などの精密な箇所の描写がかなり難しかったです。
【評】
銀河の犬というイメージでしょうか。宇宙船で航海中にこんな場面が出たら…。テーマ設定が面白いです。特に左の窓のフレームによって分断された犬の表情が面白く、宇宙船にかなり近づいている様子がわかります。窓のフレームと窓の外に広がる宇宙の描き分けが難しかったのではないでしょうか。特に中央に描かれた鉱物の結晶体は宇宙の広がりを消してしまっています。ここに宇宙空間の深淵が描けていたら、さらに犬が引き立った作品になったでしょう。
参加校一覧(都道府県順)
市立札幌開成中等教育学校/北海道帯広南商業高等学校/岩手県立岩泉高等学校/岩手県立盛岡第三高等学校/東北生活文化大学高等学校/福島県立会津高等学校/会津学鳳高等学校
江戸川学園取手高等学校/茨城県立水戸農業高等学校/文星芸術大学附属高等学校/栃木県立壬生高等学校/埼玉県立大宮光陵高等学校/埼玉県立新座総合技術高等学校/埼玉県立久喜北陽高等学校/埼玉県立和光国際高等学校/埼玉県立熊谷女子高等学校/本庄東高等学校/開智未来高校/埼玉県立芸術総合高等学校/埼玉県立上尾鷹の台高等学校/千葉県立君津高等学校/長狭高等学校/千葉県立茂原高等学校/立正大学付属立正高等学校/東京都立府中西高等学校/淑徳高等学校/潤徳女子高等学校/光塩女子学院高等科/渋谷教育学園渋谷高等学校/東京都立豊島高等学校/陸上自衛隊 高等工科学校/神奈川県立藤沢西高等学校/神奈川県立小田原城北工業高等学校/神奈川県立霧が丘高等学校/茅ヶ崎北陵高等学校/神奈川県立鶴見高等学校/神奈川県立藤沢清流高等学校
新潟県立五泉高等学校/福井県立鯖江高等学校/長野県明科高等学校/長野県木曽青峰高校/長野西高等学校/長野県松本美須々ケ丘高等学校/エクセラン高等学校/静岡県立浜松大平台高等学校/常葉大学附属菊川高等学校/静岡県立浜松江之島高等学校/静岡県立浜松湖南高等学校/学校法人静岡理工科大学 静岡北高等学校/常葉大学附属菊川高等学校/学校法人KTC学園屋久島おおぞら高等学校/静岡県立富士宮東高等学校
滋賀短期大学附属高等学校/光泉カトリック高校/京都府立南陽高等学校/羽衣学園中学校・高等学校/金光八尾高等学校/好文学園女子高等学校/西宮市立西宮高等学校/東大寺学園高等学校/奈良県立高田高等学校
松江市立皆美が丘女子高等学校/広島県立加計高等学校/愛媛県立松山西中等教育学校
福岡県立八幡中央高等学校/熊本県立球磨中央高等学校/宮崎県立佐土原高等学校
【評】
全面を埋め尽くす迫力のある白虎と荒波の力強いタッチと、背景の牡丹を取り入れた構図で独創性に優れていると感じます。皆で一丸となり描いた不屈の魂も感じられ、インパクトと色使い、波のタッチ等、技術面でも優れていると思います。