第11回 日学・黒板アート甲子園®
黒板の部(ジュニア)結果発表


最優秀賞・優秀賞・入賞ノミネート作品

11月8日(日)開催の表彰式にて、「最優秀賞」「優秀賞」「入賞」が決定します!
※以下、ノミネート作品は応募順に掲載しております。

愛知県春日井市立岩成台中学校/
岩成台中美術部2・3年生/19人

作品名:海の舞 ~光と影の舞台で~

魚、海月(くらげ)、カメ、烏賊(いか)。海の住人たちは、水と光と共に泳ぐ。豊かな水の舞台で彼らは踊る。共に舞うのは我らが美術部員。それぞれが生き物たちとたわむれる、楽しい海の世界。しかし一方で何人かの部員は海洋プラスチックをおしとどめている。美しい海の光と影を描いた。つぶれたペットボトルやキャップは未だ根強く存在する。しかしこれ以上の拡大は防がなければならない。私たちは未来のために何ができるか。その祈りを、一色一色、一線一線にこめた。多くの生命が住み、人間に糧を与えてくれる海の生物のために。

武蔵野市立第3中学校/
武蔵野市立第三中学校 美術部/6人

作品名:目指せ!

この作品は、夢に向かっていく私たちを描きました。指をさしている人の身体は、意志の強さを表しています。それぞれの夢への道を多様な色で表現しました。

野田市立第一中学校/
すごくなかのいいともだち/4人

作品名:#仲良し 盛れたはずなのに。

私たちは、「うちら」仲良し4人での制作にこだわった。他学年を混ぜてグループを作る方針だった顧問の先生に直談判をし、ようやく2年生の4人で制作する許可をもらった。4人で元になるプリクラを撮りに行き、模写をして作品にしていった。作りたかったのは仲良しの「うちら」の自画像。だけど、ただの自画像じゃなくて、自分達の個性や、生きている今の時代を表現したかった。
情報が改竄されていくネット社会の歪み、ノイズやウイルス。魚たちはネットの海を表している。仲良しグループを写した写真も、海に流れてしまえば都合よく、時に妄想や噂というエラーによって悪質に書き換えられてしまう。後ろから私たちを見つめる監視カメラは、いつどこにいても誰かに見られているという、見えない恐怖の象徴だ。
ネット命の私たちだからこそ描ける、リアルで、少し歪んだ世界の危うさを、4人で面白おかしく描きまくってみた。

真岡市立真岡東中学校/
KAY MARK/7人

作品名:私の描く世界

初めて挑む「黒板アート甲子園」。6人でアイディアを出し合い、顧問の先生の助言を受けながら取り組みました。担当を決め、なんとか進めていき、描いていくうちに仲間との絆も深まった気がします。
「私の描く世界」は、女子生徒が"自分の世界"を描くその一瞬を表現しました。自分の世界は自分自身が決めることができるということを考えながら描き進めました。

南葛西中学校/
美術部だってよ!/7人

作品名:鮭達の邁進

この作品では鮭を生徒たち、周りの動物を先生や地域の方々に見立てて制作しました。鮭は生まれた川を下って海に出て、大人になると再び自分の生まれた川へ戻って来ると言われています。これから私たちは、受験という大きな滝を乗り越え、それぞれの道を歩んで行きます。世界は今、戦争や異常気象などによって混乱しています。そのような時代の中で私たちがそれぞれの道を歩み成長していく姿を見守ってください。そして大人になった時には、一人も欠けずに再び、葛西の地で笑顔で集まりたいです。

松田町立松田中学校/
松田中学校美術部/12人

作品名:Becoming

黒板アートを描くために、私たちはさまざまなチョークを削って使います。チョークの粉が混ざり合って、色とりどりになったその瞬間――。学校生活や美術部の思い出が色鮮やかに蘇り、眼の前に現れた!?

黒板とチョークで、私たちは無数の世界を生み出してきました。そして、何者でもなかった私たちが、黒板アートを通して何者かになれたような気がします。3年生は引退しますが、季節とともに、きっとこれからも新しい世界は訪れる(be coming)ことでしょう。

これまで黒板アートを支えてきた先輩たちがみんな卒業してしまい不安でいっぱいでしたが、2年生にサポートしてもらいながら3年生が力を合わせて描きました。この作品から、黒板に描くことの楽しさやチョークの色彩の美しさを感じてほしいです。

ジュニアの部 受賞作品

※学校名、グループ名、人数、作品画像、作品名、制作エピソード、講評の順で記載
※画像をクリック/タップすると作品を全画面表示できます

エリア賞

エリアをクリックすると各エリア受賞作品にスクロールします。

北海道・東北ブロック
(北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)

斜里町立知床ウトロ学校/
知床ウトロ学校文化部/6人

作品名:芽吹き、根差し、彩る 〜斜里岳の移ろいとともに〜

私たちが通う知床ウトロ学校は、北海道の東の端にある小さな義務教育学校です。私たちは豊かな自然に触れながら、毎日元気よく学校に通っています。今回は、私たちを変わらぬ姿で見守ってくれている「斜里岳」をモチーフに、季節の移ろいと私たちの「歩み」を表現しました。
 少女の足元に咲く花には「今まで頑張ってきたことが、自分でも気が付かないうちに、いつの間にか花を咲かせている。私たちの『今』は着実に実を結ぶんだ。」というメッセージを込めました。
 窓の外の景色とノートと足跡から咲く花以外はあえて白と地の色で描くことで、四季の美しさや、未来へ進む希望をより印象的に表現してみました。
 誰かがこの作品を見て、自分の歩んできた道や、これから進む未来について考えるきっかけになれば嬉しいです。

【評】

四季のうつろいを描く作品は数多いのですが、この作品の魅力は時間表現を2つのモチーフに語らせている発想が魅力です。一つは校舎から見る自然の変化で、もう一つは廊下の花。窓に描かれている四季の移り変わりの時間を、足下に咲く花の成長に語らせています。右端にに描かれた生徒が日々の歩みを振り返り見ている姿もいいですね。モノトーンで描かれた校舎と色彩豊かな季節と、そのコントラストが効果的です。よく考えられた作品です。

関東ブロック
(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)

川崎市立金程中学校/
羽ばたくチワワ/8人

作品名:生成に負けない一筆

最近ではAIによって生成された画像を目にする機会が増え、瞬時に完成度の高い画像を作れる時代になりました。私達が将来就きたい仕事も、AIによってなくなるかもしれません。それでも私達は、伝えたいことや心にある想いを描き続けたい。「心のある人間の絵はAIには負けない!」という熱い思いを胸に、この作品を制作しました。油絵のような力強いタッチをチョークで表現することを意識して描きました。時には仲間と意見がぶつかることもありました。しかし、悩みや葛藤を重ねながら互いの考えをぶつけ合ったからこそ、全員が納得できる鮮やかな作品を完成させることができました。

【評】

遠目からでもインパクトの強い勢いのあるデザインであり、時代の変化やAI技術の発達や行く末を捉え、その葛藤を思いにされたことが非常に伝わってきます。黒板全面を対照的なモチーフで描かれていますが非常にバランスの良い描き込みです。これからも手描きの良さ、瞬時にひらめくデザイン技術ではなく、仲間と協力しあい、話し合い生み出されていくデザインを考案していただきたいと切に願います。

東海・北陸・甲信越ブロック
(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)

名古屋市立南光中学校/
なごやノ子/5人

作品名:名古屋飯ノ戦い

初めて挑戦する黒板アート制作に向けて、下絵の構想時から仲間と積極的に意見交流しました。意見が対立するときもありましたが、ぶつかりあったからこそ、チームの団結力が高まりました。
この作品は、名古屋飯の味や見た目の個性の強さを「戦い」として描きました。名古屋に住む私たちだからこそ知る魅力を詰め込みました。この作品を通して、たくさんの人に名古屋飯の魅力を知ってもらい、「食べてみたい」と思ってもらえたら嬉しいです。
名古屋飯を対立させ、左は暖色、右は寒色で表現しました。エビフライの衣やうなぎのかば焼きの質感、きしめんの光沢と影など、食べ物の特徴を細かく描きました。陰影には色を重ねすぎず、指で馴染ませて黒板の黒を生かしました。
左下から・・・エビフライ&ドラゴン、味噌&豚(豚カツ)、手羽先&名古屋コーチン
右下から・・・きしめん&女神、ういろう&名古屋港のシャチ、ひつまぶし&うなぎ

【評】

名古屋飯の個性の強さを“戦い”として表現した発想がとても面白い作品です。ドラゴンや女神、シャチなどと組み合わせることで、見慣れた食べ物がどれも堂々としていて、とても強そうに見えてきます。暖色と寒色で左右を分けた構成も分かりやすく、エビフライの衣やうなぎ、きしめんなど、それぞれの質感にも丁寧な工夫が感じられました。初めての黒板アートとは思えない描写力と構成力があり、仲間と意見をぶつけながら一つの世界をつくり上げた勢いも伝わってきます。

近畿ブロック
(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)

守口市立大久保中学校/
大久保中学校美術部/12人

作品名:真夏の夜の夢

自分達の学校の校舎から見える花火や、祭りを想像させるような金魚、天の川を彷彿とさせる空など、非現実的で夢のような一日を表しました。花火が校舎や人に反射している表現、ネオンをイメージしてはっきりした色が外側にいくほどぼかす技法などにこだわりました。みんなでチョークの可能性を広げていくことを楽しみながら制作した自慢の作品です。

【評】

夏祭りの一夜をイメージさせる作品です。黒板の地の色を上手く使ってそれぞれのモチーフを配置し画面を構成しています。描かれている花火や夏祭り、中学校の校舎、大切な思いと大切な時間をこの1枚に閉じ込めているような気がします。描かれているもの一つ一つを描き方を変えて質感を見事に描いています。白いシャツの表現がそれらを引き立てていて効果的です。

四国・中国ブロック
(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県)

出雲市立第三中学校/
手に込めた未来/2人

作品名:こうありたい自分に向き合う未完成の私たち

大人への一歩を踏み出す中、黒板アート制作で生きる意味を見つめ直しました。表現力が追いつかない壁を詩や格言で補い想いを形にしています。描き切れなかった悔しさを「もっと上手くなりたい」という情熱に変え、未完成な私たちは理想の自分に向かってこれからも挑戦を続けます。

【評】

「手」はシンプルでありながら、表情がたくさんあるモチーフだと思っています。今回の作品の主人公である「手」の表情は色合いやちからの入れ具合などが絵からダイナミックかつストレートに伝わってくる画力の強さが評価として非常に高いです。これからも想いをチョークにのせて、表現力の高さをさらにブラッシュアップしていたけることを楽しみいしています。

九州・沖縄ブロック
(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)

沖縄県石垣市立石垣中学校/
石垣中学校美術部/8人

作品名:ようこそ、陸の上の迷子たち

私たちは、自分たちの住む沖縄(石垣島)といえば・・・というものをギュッと詰め込みました。海の中に教室や、陸の動物がいるというファンタジーな作品にしました。最初は、教室を描くところから苦戦していましたが、美術部メンバーの皆と協力し、徐々に進めることができるようになりました。黒板で色を作ったりするのがほんとに難しくて、あきらめそうになった部分もありましたが、沢山の色を重ねることで、綺麗に仕上げることができました。

【評】

海の中にいつもの教室が広がり、人と海の生き物、陸の動物たちが同じ空間で自然に共存しているところが、とても魅力的です。少女と大きな猫が静かに見つめ合う姿からも、人と自然が互いに寄り添って生きているような感覚が伝わってきます。水面から差し込む光や、たくさんの色を重ねた海の表現も美しく、石垣の豊かな自然の魅力を感じさせてくれる作品でした。

審査員特別賞

三澤先生選出 浅口市立金光中学校/
浅口市立金光中学校3年生/8人

作品名:明日へ

放課後部活が終わって、夕日の中下校する様子を描きました。3年間頑張ってきた部活が終わってしまう寂しさと将来への決意を表現することができるように、廊下や人物にあたる夕日の彩色に時間をかけました。黒板は大きいので、人物のパースが狂わないようにすることと、遠近感を出すことができるように8人で話し合いながら頑張りました。人物をスケッチして練習したり、写真を撮って確認してみたりと、黒板に向き合う時間以外もとても楽しく、思い出に残る経験になりました。

【評】

中学生の日常を描いた作品でとても素敵な作品です。この作品を見ていると実際にその場に立って皆さんの下校を見送っているような錯覚に陥ります。階段下の踊り場は、現実とは異なる水平と垂直の歪みが功を奏しています。さぞ遠近感の表現に苦労したことでしょう。それぞれの色の響き合いも素敵です。長く見ていても飽きない、じんわり味わえる作品です。

熊沢先生選出 宮崎市立大塚中学校/
いちばんぼし/2人

作品名:ほしあつめ

黒板の黒い背景を活かして、ファンタジーな宇宙を表現しました。何個もの星を一つずつチョークで描いていく作業はなんだか楽しかったです。

【評】

黒板を宇宙空間に見立て、やわらかな表現からグラデーションの美しさも上手に表現されており、このような宇宙を見てみたい。と感じる作品です。細かな描写は少しずつ手を加えて、画材も重ねていくことで表現の幅や出来栄えも変化してくるので、今後の作品づくりでも活かしていただけることを楽しみにしています。

西村先生選出 桑名市立陵成中学校/
エスケイプ渡航社/11人

作品名:現実逃避行

「思いっきり現実逃避をしてみたい!」という衝動にかられて、現実にまみれてしまった女の子がもう一人の自分に現実逃避に連れ出されている絵を描きました。様々な現実逃避をしていることを表すために、日常用品をところどころに忍ばせてみました。現実をしっかり見つめることも大切ですが、その分自分を労うことも大切です。みなさんも現実逃避をする際には、くれぐれも、現実にお気をつけて。

制作時には、細かいところがたくさんありましたが、人をマットな感じで表現したかったので、チョークを細かい粒子状に削って、水で溶いたチョークを筆で塗って表現したり、加湿器の透明感を出すために塗り方を変えたり、細かい部分は綿棒と消しゴムを使って色を抜くことで表現する等、それぞれ工夫しました。

【評】

まるで物語のワンシーンのように、現実にまみれて少し大人びてしまった女の子が、もう一人の小さな自分に手を引かれ、子どもの頃の感覚を思い出すような冒険へ連れ出されていくように見えました。身近な日用品が大きな建物や風景へと変わり、知っているはずの日常の中に、まだ知らない世界が広がっているようなときめきを感じます。鮮やかな色彩も作品全体の軽やかさにつながっていて、「現実逃避」というテーマを、明るく軽やかな物語として表現しているところに惹かれました。

日学特別賞

上川町立上川中学校/
山のマーメイド/7人

作品名:学校の水族館

学校に水族館があったら面白いなと思ってこのテーマにしました。遠近感や立体感を出したかったので、生き物たちの大きさに気を付けて描きました。クジラが濃い青で背景も青いので、同化しないように調整しました。他の生き物たちの色も、写真をよく見て、細かく描きました。みんなで描くことができてすごく楽しかったです。

【評】

「学校に水族館があったら」という楽しい想像を、本当にそこにあるかのように描いた作品。大きなクジラが悠々と泳ぐ水槽には、現実にはない夢があります。一つひとつの海の生き物もていねいに描き込まれ、水槽が奥へと続く構図や床に映り込む水面から、リアルな奥行きが感じられます。掲示物や扉、半身だけ見える生徒によって、ここが学校であることも忘れさせません。日常と空想が楽しく溶け合っています。

名古屋市立南光中学校/
塩だれタン/3人

作品名:不撓不屈のライオン

私たちの学校には美術部がありません。そのため私たち3年生にとって、この黒板アート甲子園への応募は中学校生活、最初で最後の大きな挑戦です。「不撓不屈」とは、強い意志をもってどんな苦労や困難にもくじけず、諦めずに立ち向かうことを意味する四字熟語です。この作品では、最後まで諦めずに挑戦し続ける私たちの思いを、百獣の王である勇ましいライオンに重ねて表現しました。この作品に込めた「不撓不屈」の精神を、これからの進路に生かし、それぞれの夢に向かって突き進んでいきます。
工夫したポイントは、
①ふちをわざと暗めにして抜け感を表現しました。
②顔の周りを消したことによって、ライオンの表情を分かりやすくし、真っすぐ見つめさせることで思いの強さを表現しました。
③色づかいを白ベースにして、多くの色で光の点を描くことで、神秘的な雰囲気にしました。

【評】

美術部のない学校で、仲間と挑んだ最初で最後の黒板アート。「不撓不屈」の思いを重ねたライオンの、まっすぐこちらを見つめる瞳から強い意志が伝わってきます。白を基調に繊細に描かれた毛並みと、黒板いっぱいに広がる流れるようなたてがみも見事です。そこに色とりどりの光が加わり、力強さと神秘的な美しさをあわせ持つ作品に仕上がっています。

※この作品は、日学株式会社の社員投票により選出されました。
・ライオンの描写が非常に写実的で、チョークでここまで表現できることに感嘆しました。
・「不撓不屈」というテーマと、力強くこちらを見つめるライオンの表情が印象的でした。色使いや消し方にも工夫があり、最後まで諦めずに挑戦する皆さんの強い思いが伝わってくる作品と感じました。
・陰影がキレイで神秘的な雰囲気がよく出ている作品です。
・黒板アートへの挑戦と、学生生活を最後まで諦めずに挑戦し続ける「不撓不屈」と強い意志をもって描いている事が描写として伝わってきました。
・中学生ならではの感性で「不屈の精神」をライオンに重ねて力強く表現しており、作品から強い意志が伝わってきました。また、黒板の縁まで活用した構図にも工夫が見られ、完成度の高い作品として高く評価しました。
・まず、単純に「きれいだな」と感じました。白を基調に描かれたライオンは、毛並みの細かな表現まで丁寧で、立体感と存在感があります。特にこちらを真っすぐ見つめる目には強い意志が感じられ、ライオンの力強さがよく表現されていると思いました。そこにさまざまな色の光が加わることで幻想的な雰囲気も生まれていて、思わず魅入ってしまう作品です。

桑名市立陵成中学校/
ワァ花火キレイチーム/18人

作品名:儚火

線香花火が灯っているあの時間は、大きな音がなく静かで落ち着いて夏の情緒を味わえます。また、火の玉が落ちないようにそっと息を殺して見守る小さな緊張感があります。短い時間ですが、それこそ価値や魅力を感じ、思い出になります。そんな線香花火の美しく儚い輝きを出せるように、みんなで描きました。
制作時は、線香花火の暗闇を照らす淡い光を細かく表現するために、メンバー全員で指先にチョークの粉を付けてポンポンと叩いて黒板に描きました。みんなの指紋が重なって作品の完成度が高まっていく様子や、無数の指紋が細かく残っているのを見ると、「みんなで作り上げた」という風貌があっていいねと話し、あたたかい気持ちと達成感がありました。

【評】

広い黒板の中央に、儚く輝く一本の線香花火。余白を大胆に使った構図が、その一瞬の美しさと静けさを際立たせています。濡れた黒板と乾いた黒板の色の違いや、チョークの線、指先につけた粉を重ねて光を表現する工夫も秀逸です。みんなの指紋が重なって生まれた淡い光には、仲間と一緒につくり上げた時間まで刻まれています。黒板アートの新たな可能性を感じさせる作品です。

※この作品は、黒板アート甲子園事務局による選考の結果、選出されました。
・使われている光の表現方法が1種類ではないことに工夫と拘りを感じた。
・シンプルだが細部までこだわって描かれていることが伝わってきた。
・チョークだけではなく濡らした黒板の色を使うという点が面白いと感じた。
・濡らした黒板と乾いた黒板による明暗表現が、線香花火の美しさを効果的に引き立てている。
・黒板の特性を活かした独創的な表現方法が印象的でその発想力と表現力を高く評価した。
・水分を使って線香花火のはかない光を表現しているところが素晴らしいと感じた。
・水を使い、黒板の色を一段階暗く表現することで線香花火の周りが明るくなっているように見える。シンプルな作品だが、新たな表現方法で黒板アートの可能性を感じさせてくれる作品である。

アイデア賞

川崎市立生田中学校/
生田中学校美術部チームブルー/3人

作品名:物語はこれから

漫画を描いている私たち。3人で想像を膨らませ夢中になるにつれ、現実と漫画の世界がリンクしていきます。泣いたり、笑ったりそして過去から未来へ、描くストーリーには今にもコマから飛び出してきそうなたくさんの思い出が。「この先どんな事が起こるかな…」私たちの物語はまだまだこれから。ドキドキわくわくしながら、輝く未来を思い描いていきます。
 2年生3人で黒板アートに初挑戦しました。人生という物語を私たちが大好きな「漫画」で描くことで楽しく制作に取り組めると思い、今回の作品のテーマにしました。過去から希望にあふれている未来へつながるストーリーを、漫画のコマで描きました。中学校で出会ったばかりはぎこちなかったけれど、部活動や学校生活を共にしていく中で互いを信頼し、私たちは支え合える大切な仲間になっていきました。中学2年生という沢山の悩みを抱えて、大きく成長していく時期。仲間と過ごす今を大切にして、前向きに楽しく人生を描いていこうという思いが込められています。

【評】

作品を並べて見たときに、まず目を引く構図の強さがあります。漫画のコマ割りを思わせる白黒の背景に、人物や文房具だけ鮮やかな色を入れたことで、現実と漫画の世界が行き来するような面白さが生まれています。3人が大きな鉛筆を持って、自分たちのこれからの物語を描いているという発想も、とても印象的です。構成や色の使い方に思い切りのよさがあり、画面全体に強い印象を残しています。さらに、人物や物の質感、光や影などをもう少し描き込むことができると、画面により深みが生まれ、作品の魅力が一段と強くなると思います。

ユーモア賞

茅ヶ崎市立円蔵中学校/
art円蔵倶楽部/9人

作品名:犬「解せぬ。」

この作品は四つのことわざを組み合わせたものです。一つ目は「犬も歩けば棒に当たる」、二つ目は「犬猿の仲」、三つ目は「泣きっ面に蜂」、四つ目は「木を見て森を見ず」です。このことわざを組み合わせたことで、一つの物事に囚われず、視野を広くし周りを見てほしいというメッセージを込めています。
黒板に爪が当たるなどのトラブルもありましたが、犬猿の仲ということわざとは対照的に、みんなで仲良く笑いながら、制作していました。

【評】

見れば見るほど楽しい気持ちになる作品です。なんといっても犬の表情がたまらない。そして犬の毛の質感が見事に描かれていて素晴らしい表現力です。黒板にしっかりチョークをのせて描いているので、作品全体が重厚な感じで完成度が高い感じを受けます。作品のテーマの決め方も面白いですね。

日本白墨工業賞

川崎市立生田中学校/
生田中学校美術部チームイエロー/3人

作品名:生田中デモクラシー

今までもこれからも時代は変化し続けます。でも変わらなければいけないのは社会だけで無く私達自身もではないでしょうか。社会が意識を変えようとしていても自分たちが変わろうとしないと世界を変えることはできない。今までの社会問題に向き合い、今、私達に出来ることとは…
この作品のテーマは「時代の流れ」です。私達の一番身近で起こっている変化…いつも通っている学舎、生田中学校から着想を得ました。生田中学校は日に日にアップデートしており、新しい活動や決まりが増えています。それは生徒会本部だけでなく生田中の生徒全員で創り上げてきたものです。しかし「学校の変化」と「時代の流れ」をどのように組み合わせるかに悪戦苦闘しました。そこで政治と社会を変えた出来事「大正デモクラシー」と結びつけ、生田中学校×大正デモクラシーという他に類を見ない題材をモチーフにし、制作しました。中心の時計は実際に大正時代に使われていた時計をモデルにし、周りにタイムスリップや時代のつながりを連想させるようなものを描きました。

【評】

毎日通っている学校の変化から「時代の流れ」という大きなテーマを見つけ、それを黒板いっぱいの世界へと広げた発想に惹かれました。中央に描かれた古時計を中心に、精巧に噛み合う無数の歯車やらせん階段などを組み合わせ、複雑な時の流れを巧みに表現しています。
また、さまざまな色のチョークを使い分け、細かな線や質感まで丁寧に描き込んでいる点も印象的です。特に、袴姿の女学生の表情とその視線からは、単に過去を振り返るのではなく、「自分たち自身が意識を変え、社会を動かす一員になる」という強い意志が伝わってきます。
この作品と、作品をつくる中で生まれた皆さんの考えや発見、仲間との時間が、これから先も皆さんの心に残っていくことを願っています。

新人賞

対馬市立久田中学校/
久田中学校有志美術チーム いりこワールドサ終/4人

作品名:私たちの島へ。

私たちの住む対馬は「国境離島」と呼ばれています。
島から出ていく人、県外に出れば対馬という地名さえ知らない人は多く、島の人口は減少し続けています。
今年度、対馬の最南端にあった豆酘中学校が閉校となり、私たちの通っている久田中学校と統合するという大きな変化がありました。美術の先生も島内には少なく、昨年度は久田中学校にも豆酘中学校にも美術が専門の先生はいませんでした。そんな中、美術の先生が奇跡的に赴任した今年度!
実は絵を描くことが好きな私たちが、青春を謳歌できるチャンス、また作品を通して私たちがこの島で生きた証を表現するチャンスではないかと考え、先生と相談してこの黒板アート甲子園への応募を決めました。
島内には現在、美術部のある中学校はありません。私たちは普段、テニス部、バスケ部、吹奏楽部など異なる部活に所属する4人です。それぞれの部で大会や練習があり、全員がそろって活動できたのは片手で数えられるほどでしたが、そろわなくても私たちはバラバラにはなりません。最初に4人で話し合ったイメージをもとに交代で黒板に向かい、チョークのバトンを繋いできました。特に受験を控えた1人のメンバーは、この作品のために夏休みの貴重な時間を割いて学校へ足を運び、水面に映った海中鳥居や躍動感のあるイカ、ツシマヤマネコの繊細な毛並みを狂いなく描き進めてくれました。
「今年が最初で最後になりそうやね」
「来年もしたいわ」
「やってもメンバーも先生も変わるばい」
「とりあえず今年、がんばろうや」
エアコンのない空き教室で、窓を全開にして黒板に向かいながら、私たちはそんな言葉を交わしていました。中学校に入学してから、心のどこかで、「どうせ田舎だから、絵を描くことで熱い経験はできないだろう」と諦めていたと思います。しかし今回、チョークの粉にまみれながら休憩時間さえ忘れて、みんなで黒板に命を吹き込んでいく日々の中には、私たちの憧れていた「絵に描いたような青春」が確かにありました。
特に、中央に描いたクジラへの思いは格別です。昔の対馬ではクジラがよく獲れ、クジラを追いかけて各地から移り住んだ漁師さんもたくさん居たそうです。しかし、温暖化などによる漁獲数の激減、禁漁に伴い、対馬の漁業者人口も減りました。豆酘小学校に通っていたころ、数十年ぶりにクジラが水揚げされた日がありました。その日は朝から港へ行き、解体の見学をし、当日の給食でそのクジラが出るという貴重な経験をしました。私はそれ以来クジラを見ていません。
クジラたちに戻ってきてほしい、過疎化が進む対馬に、今度はアートとなって人を呼び戻して欲しいという願いを込めました。
この大会と作品を通して、かけがえのない故郷である対馬のことを多くの人に知ってもらいたい・・・観光で訪れてくれれば・・・移住する人が増えたりすれば・・・島で今後美術が盛んになったりしたら・・・様々な思いを駆け巡らせた夏でした。
これは異なる部活動での経験と、離島という環境で培われた一人一人の情熱を黒板にぶつけ、忘れられそうな美しい島の「今」と「祈り」そして私たちの絆を全力で表現した自信作です。
大好きな先生と過ごした日々へ、対馬をまだ知らない人へ、そして統合して新しくなった私たちの学校と島の未来へ、この情熱が届くことを願っています。
来てみんね!対馬!

【評】

一言でいうと、いただいたコメントの想いがすべて詰まった作品であります。各々の立場や環境、そしてこの黒板アート甲子園に応募するタイミングの合致、すべての要素が作品にぎゅっと凝縮され、凝縮はされているけれども、豪快に・ダイナミックに表現されています。主人公となるクジラの描きこみや色合いも全体からみても非常に美しく表現されており、この全体の画力は取り組んだ全員の情熱のたまものだと感じます。中学生の作品とは思えないほどの完成度で、新人賞に選出させていただきました。

参加校一覧(都道府県順)

斜里町立知床ウトロ学校/上川町立上川中学校/青森県深浦町立深浦中学校/塩竈市立第一中学校/宮城教育大学附属中学校/石巻市立青葉中学校/名取市立第一中学校/山形市立金井中学校/山形市立第五中学校/上山市立宮川中学校/福島県いわき市立中央台南中学校/福島県郡山市立行健中学校/福島県立会津学鳳中学校

ひたちなか市立勝田第一中学校/守谷市立けやき台中学校/真岡市立真岡東中学校/栃木県宇都宮市立鬼怒中学校/栃木県小山市立絹義務教育学校/群馬県桐生私立清流中学校/熊谷市立熊谷東中学校/熊谷市立妻沼東中学校/熊谷市立富士見中学校/東松山市立松山中学校/千葉市立椿森中学校/野田市立岩名中学校/野田市立第一中学校/野田市立第二中学校/野田市立北部中学校/女子学院中学校/南葛西中学校/板橋区立志村第四中学校/武蔵野市立第3中学校/武蔵野市立第四中学校/練馬区立貫井中学校/茅ヶ崎市立円蔵中学校/厚木市立睦合東中学校/三浦市立三崎中学校/松田町立松田中学校/川崎市立金程中学校/川崎市立生田中学校/川崎市立生田中学校/川崎市立西高津中学校/日本大学中学校

富山市立月岡中学校/磐田市立南部中学校/浜松市立都田中学校/愛知県春日井市立岩成台中学校/西尾市立平坂中学校/豊橋市立青陵中学校/名古屋市立植田中学校/名古屋市立神の倉中学校/名古屋市立猪子石中学校/名古屋市立南光中学校/名古屋大学教育学部附属中学校/桑名市立陵成中学校

河内長野市立 加賀田中学校/関西大学第一中学校/守口市立大久保中学校/八尾市立曙川中学校

八頭町立八頭中学校/江津市立青陵中学校/出雲市立第三中学校/島根大学教育学部附属義務教育学校後期課程/岡山県倉敷市連島中学校/浅口市立金光中学校/熊野町立熊野東中学校/広島県立広島中学校/福山市立神辺中学校/萩市立萩西中学校/小松島市小松島南中学校/高松市立玉藻中学校/高松市立香東中学校/東かがわ市立引田中学校/愛南町立御荘中学校/松山市立道後中学校/松山市立北中学校/内子町立内子中学校/内子町立大瀬中学校/北川村立北川中学校

大牟田市立甘木中学校/佐賀県立香楠中学校/小城市立芦刈中学校/対馬市立久田中学校/長崎市立滑石中学校/宮崎市立大塚中学校/日向市立財光寺中学校/鹿児島市立鴨池中学校/沖縄県石垣市立石垣中学校